Apple、AIコンパニオンを18+に 1月12日までに申告必須

iPhoneを手に持つ人 AI

Apple は11月2日(米国時間)、App Store Connect の年齢制限の質問票に新しい項目を2つ足すと開発者向けに発表しました。1つは「出会いと恋愛」(Dating and Relationships)です。実在の人どうしの出会いに加えて、AI のキャラクターが利用者と恋愛や性的な会話をする機能もここに入ります。当てはまるアプリは最低でも18+の扱いになります。項目は11月16日に現れ、2027年1月12日までにすべてのアプリが答えなければなりません。AI チャットを組み込んだアプリを出している開発者は、自分のアプリが当てはまるかを決める必要があります。

背景と文脈

Apple はこの1年あまり、年齢制限の仕組みを段階的に変えてきました。2025年7月には、それまでの 4+・9+・12+・17+ を 4+・9+・13+・16+・18+ の5段階に組みかえ、質問票も細かくしました。新しい質問への回答期限は2026年1月31日でした。2026年2月には、年齢を確かめる Declared Age Range API をブラジル・オーストラリア・シンガポールや米ユタ州・ルイジアナ州の法律に合わせて広げています。この3か国では、18+ のアプリは大人だと確認できるまでダウンロードできません。

AI コンパニオン(AI の友だちや恋人役と会話するアプリ)の年齢区分は、開発者の自己申告まかせで、実態より低くつけられがちでした。広告の品質を調べる Deepsee.io が2026年7月にまとめた調査では、App Store の AI キャラクター・コンパニオン系アプリ2,882本のうち、51%にあたる1,469本が未成年でも使える区分でした。4+ のものだけで1,058本あります。評価を途中で変えたアプリは252本で、そのうち132本はゆるくする方向でした。17+ から 4+ まで一気に下げたアプリも57本ありました。

今回の変更は、この自己申告の穴を、質問を具体的にすることでふさぐものです。「性的な内容があるか」という一般的な質問だけでは、AI の会話がどこまで行くかを開発者が軽く見積もれました。「恋愛や性的な会話をする AI の相手がいるか」と機能そのものを聞かれると、ごまかしにくくなります。

技術/ビジネス面

黒いスマートフォン
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新しく足される項目は2つです。Apple の発表文では、それぞれ次のように説明されています。

項目 当てはまる機能 年齢制限への影響
出会いと恋愛(Dating and Relationships) 実在の人どうしの出会いや交際につなぐ機能、または利用者と恋愛・性的な会話をする仮想の相手 最低 18+
位置情報の共有(Shared Location) 現実の位置をほかの人やグループに共有する機能 地域によっては最低年齢に影響しない

回答が求められるのは、11月16日以降にアプリの更新を出すときか、質問票を変えるときです。更新の予定がないアプリも、2027年1月12日までには答える必要があります。ブラジルは法律の決まりが別にあり、位置情報の共有は A16、出会いと恋愛は A18 になります。親子で位置を見せ合うアプリのように、もっと低い区分がふさわしいと考える場合は、ブラジルの法務・公安省に正式な区分を申請できます。

TechCrunch の記事は、Character.AI や Replika のような専用アプリだけでなく、多くの機能の1つとしてコンパニオンを持つアプリも対象になりそうだと書いています。例に挙げているのは、xAI の Grok にあるアニメ調のコンパニオンです。条件を満たすと成人向けの会話ができるようになるため、Grok のような汎用アプリでも18+ を求められる可能性があります。

ビジネス面で痛いのは、18+ になると届く相手が減る点です。先に書いた3か国では、大人の確認が済むまでダウンロードできません。10代の利用者が多いアプリほど、18+ を受け入れるか、恋愛の会話そのものを外すかを選ぶことになります。

開発者として試すなら

最初にするのは、自分のアプリが「恋愛や性的な会話をする仮想の相手」に当たるかの判断です。キャラクターに名前と性格を持たせ、利用者と1対1で話し続けるアプリは、恋愛の設定を売りにしていなくても注意が必要です。システムプロンプト(モデルに最初に渡す、役割や口調の指示)で恋人役を許していないか、利用者が頼めばそちらに話が流れないかを確かめておきましょう。

当てはまらないと判断するなら、その根拠を作っておくと審査で説明しやすくなります。具体的には次の手順です。

  1. 恋愛・性的な会話を断る指示をシステムプロンプトに書き、モデルの出力を別のモデレーション(有害な内容を見分ける仕組み)でも確かめる
  2. 「付き合って」「恋人になって」のような頼み方を何十通りか用意し、断れるかをテストに入れる
  3. App Store Connect のアプリ情報にある年齢制限の質問票で、新しい2項目に答える(11月16日以降)
  4. App Review へのメモに、恋愛の会話を止めている方法を短く書いておく

当てはまる場合は 18+ で出すことになります。年齢によって機能を出し分けたいときは、Declared Age Range API が使えます。Apple の年齢制限の一覧では、年齢の確認(Age Assurance)を入れていること自体は 4+ のままでよい項目になっています。ただし、API で大人と確認した人だけに恋愛の会話を開いても、アプリの区分は機能のある 18+ になると考えておくほうが安全です。発表文は、出し分けをしたときの扱いには触れていません。

日付を並べると、次のようになります。

日付 起きること
2026年1月31日 5段階の新しい年齢制限への回答期限(済み)
2026年9月 SNS 機能の申告が必須に(フィードがあれば最低 13+)
2026年11月16日 出会いと恋愛・位置情報の共有の2項目が質問票に出る。以後の更新では回答が必要
2027年1月12日 すべてのアプリが2項目に答え終える期限

つまずきやすいのは位置情報の項目です。AI とは関係なく、友だちに現在地を送る機能や、配達員の位置を見せる機能も「ほかの人と共有」に当たる可能性があります。AI コンパニオンの話題に目が行きがちですが、更新を出す前に両方の項目を確かめておきましょう。

これからどうなるか

App Store の年齢制限は、自己申告に頼る形から、機能ごとに具体的に聞く形へ変わってきています。2025年7月の5段階化、2026年7月の SNS の項目、今回の恋愛と位置情報の項目と、1年あまりで3回質問が足されました。画像や動画を作る生成 AI の機能に個別の項目ができても、驚く流れではありません。

開発者にとっては、LLM の会話を組み込んだ時点で、年齢制限がプロンプトの設計と結びつくようになります。キャラクターの口調を決める作業が、そのまま審査の区分を決めることになるからです。チャット機能のあるアプリでは、恋愛の会話を断るテストを CI(コードを変えるたびに自動で動くテスト)に入れておくと、モデルを入れかえたときに区分が変わる事故を防げます。

Google Play が同じような項目を足すかはまだわかりません。両方のストアに出しているアプリは、今のうちにどちらにも通る説明を用意しておくと、後で慌てずにすみます。

まとめ

Apple は、恋愛や性的な会話をする AI の相手がいるアプリを 18+ にする項目を、11月16日から年齢制限の質問票に入れます。回答の期限は2027年1月12日です。汎用のチャットアプリでも、恋人役に流れる会話を止めていなければ当てはまるおそれがあります。更新を出す前に、プロンプトと断り方のテストを見直しておきましょう。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Vojtech Bruzek on Unsplash

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