Samsungがドイツ・ベルリンで開催中の家電見本市「IFA 2026」で、AI機能を搭載した洗濯機と冷蔵庫の新製品を披露しました。新型の洗濯機は欧州の省エネ基準と比べて消費電力を最大70%削減し、冷蔵庫はカメラで食材を認識してレシピを提案する機能を備えています。生成AIが会話の中だけでなく、日用の家電そのものに組み込まれつつあることを示す発表です。

背景と文脈
IFAは毎年ベルリンで開かれる世界最大級の家電・民生機器の展示会で、2026年は9月2日からのメディア向け公開日を経て、9月4日から8日まで一般公開されています。近年のIFAでは、スマートフォンやパソコンに限らず、照明や芝刈り機まであらゆる製品にAIを組み込む動きが目立っており、今年も冷蔵庫や洗濯機、掃除ロボットといった白物家電の分野でAI統合が主要テーマの一つになりました。
Samsungはこれまでも「Bespoke AI」ブランドで、家電に生成AIや画像認識を組み込む取り組みを進めてきました。冷蔵庫が食材を管理し、洗濯機が衣類に合わせて洗い方を最適化するといった機能はすでに一部製品に搭載されていましたが、今回のIFA 2026ではその発展形として、より高い省エネ性能と、家全体の電力を一括管理できる機能が加わりました。世界的に電気料金の上昇が家計の負担になっている中、AIによる節電機能は単なる目玉機能ではなく、購入の決め手になり得る実利的な訴求点に育っています。同社は今回の発表を、家庭内にとどまらずAI活用の範囲を広げる「AI Living」構想の一環と位置づけています。
技術/ビジネス面

新型のBespoke AI洗濯機は10kgモデルと13kgモデルの2種類です。10kgモデルは、モーターの効率化や熱管理、洗浄サイクルの見直しにより、欧州のエネルギー効率クラスA認定に必要な最低基準と比べて消費電力を最大70%抑えました。13kgモデルは、薄型設計でも容量を確保する「SpaceMax」技術により、欧州の標準的なキッチン什器に収まる奥行き600mmのボディのまま、寝具のようなかさばる洗濯物も洗える容量を実現しています。両モデルとも、洗濯終了後にドアが自動でわずかに開き、庫内の湿気を逃がして衣類の生乾き臭を防ぐ「Auto Open Door」機能を備えています。
冷蔵庫では、「Bespoke AI Family Hub」がカメラで庫内の食材を自動的に認識し、それをもとにしたレシピを提案する機能を強化しました。あわせて、1つの画面から家中の対応家電の消費電力を確認・制御できるようになり、AIによる食材管理と省エネ管理を1つのハブに統合した形です。なお今回披露された洗濯機は開発段階の製品として展示されており、商用化の時期や価格はまだ公表されていません。
これからどうなるか
家電のAI化が進むと、これまで人が手作業で行っていた献立の提案や電力管理といった作業が、家電同士の連携によって自動化されていく可能性があります。他社もLGなど競合各社が同様の方向性で製品を出しており、今後は「AIをどう使うか」よりも「AIが家の中でどこまで自律的に動くか」が競争のポイントになっていきそうです。冷蔵庫の中身を把握したAIが自動で買い物リストを作り、洗濯機が電力の安い時間帯を選んで稼働するといった連携も、遠くない将来に一般化する可能性があります。
ソフトウェア開発者にとっても、家電がクラウドと常時つながる前提になることは無視できない変化です。家庭内IoT機器向けにAPIを提供したり、これらの機器と連携するアプリを作ったりする機会が今後増えていくと見られ、家電メーカーが公開するSDKや連携の仕組みを早めに調べておく価値はあるでしょう。特にカメラで食材や衣類の状態を認識する処理は端末側でどこまで完結させるかが今後の設計上の論点になりそうで、通信量やプライバシーへの配慮も含めた実装の工夫が求められます。
まとめ
SamsungはIFA 2026で、消費電力を最大70%抑えた新型AI洗濯機と、食材認識機能を強化したAI冷蔵庫を披露しました。生成AIが家電そのものに組み込まれる流れが一段と進んでいます。
参考リンク
- Samsung Redefines Laundry With New A-70% and 13 Kg Bespoke AI Washers at IFA 2026(Samsung Newsroom)
- Samsung Extends AI Beyond the Home With “AI Living” at IFA 2026(Seoul Economic Daily)
アイキャッチ画像: Photo by Find Experts at Kilta.com on Unsplash

