私は、絵や写真から、かぎ針で編むあみぐるみの編み図を作るアプリを作っています。プログラムは自分では書かず、Claude(claude.ai)との会話だけで作りました。絵を1枚入れると、パーツごとの編み図、3D の完成イメージ、必要な材料が出ます。この記事では、どんな考え方で作ったかを書きます。
作ろうと思ったきっかけ
私は中学生のころから編み物をしています。祖母が昔、編み物の先生をしていて、教えてもらいました。最近は、好きなキャラクターを自分で編みたい、これから好きなものをどんどん編みたい、と思うようになりました。ただ、市販の編み図がないものは、自分で目数を考えないといけません。
そこで Claude に「写真や絵から編み図を出す AI が欲しい」と相談しました。調べてもらうと、平らな柄なら、写真をマス目の編み図にする道具がもうありました。一方、あみぐるみのような立体は、AI に目数を推測させるアプリが多く、「編んでみたら形が全然違った」という声も出ていました。それなら自分で作ろう、と決めました。
目数は計算で出し、AI には形を読ませるだけにする
作り方で一番大事にしたのは、AI に目数を考えさせないことです。
あみぐるみの頭や胴は、だいたい球・たまご・円柱・円すいのような形でできています。高さごとの太さがわかれば、その段の円周がわかります。円周を1目の幅で割れば、その段の目数が出ます。前の段との差を増し目と減らし目にして、段の中に均等に散らせば、編み図になります。
AI に任せるのは、絵を見て「頭は直径10cmの球」のように、パーツと寸法に分けるところまでです。そこから先は計算なので、出てくる目数はかならず数が合います。
3D のモデルからあみぐるみの編み図を作る AmiGo という2022年の論文も、Claude に読んでもらいました。考え方は同じで、パーツの表面に沿って段を決め、その長さを目の幅で割って目数を出していました。
できること
今のアプリでできるのは、次のことです。
- 絵を1枚入れて完成の高さを決めると、パーツと寸法に分ける
- パーツごとに、段ごとの目数と、増し目・減らし目の位置を出す
- ×(細編み)・V(増し目)・Λ(減らし目)を同心円に並べた記号図を出す
- 編み上がりの形を、3D で回して見られる
- 玉編みなどの質感、糸の色を替えて編む模様、さし目の位置にも対応する
- 糸の長さとグラム数、かぎ針の号数、わたの量を、材料の一覧に出す
- 「目をもう少し大きく」のように書くと、そこだけ直す
公開されている編み図と比べて直した
計算が正しいかを確かめるには、実際の編み図と比べるのが一番です。無料で公開されているあみぐるみの編み図を7件集め、同じ寸法とゲージで計算した結果と比べました。
比べてわかったのは、球の編み方が実物と違っていたことです。どの作品も、毎段増やす、同じくらいの段数をまっすぐ編む、毎段減らす、という同じ作り方でした。私のアプリは数学的な球の形に合わせていたので、途中に増減なしの段がはさまっていました。実物の作り方に合わせると、くまの頭の編み図が、段数も目数も実物と一致しました。
編み始めの目数も、6目だけでは足りないことがわかりました。小さなパーツは4目、くびれのある胴は8目で始める作品があります。今は、パーツの形と糸の太さから、一番合う目数をアプリが自動で選びます。
作ってみてわかったこと
よかったのは、AI に任せるところと、計算でやるところを分けたことです。目数のように答えが1つに決まるものは計算で出し、絵をパーツに分けるような答えが1つに決まらないものだけを AI に任せました。そのため、AI の読み取りが少しずれても、出てくる編み図は編める形になります。
途中で気をつけたのは、1枚の絵に合わせて作り込まないことです。試した絵で見た目が悪いと、その絵に合わせて直したくなります。ですが、それをするとほかの絵で崩れます。直すときは、どの絵にも効く直し方かを考えるようにしました。
実際の編み図と比べたことも大事でした。計算が数学的に正しくても、編み物でふつうに使われている作り方とは違うことがあります。公開されている編み図と並べて、初めてそれに気づけました。
これから
今は自分で使っているだけで、公開はまだしていません。また、このアプリの編み図で、まだ実際には編んでいません。計算が合っていても、編んでみたら形が違うことはありえます。1つ編んでみて、形とサイズが合うかを確かめるのが次の一歩です。このアプリのことは、作りながら続きを書いていきます。
