Google は11月5日、動画を作ったり直したりするモデル Gemini Omni 1.2 Flash を発表し、翌6日に Google Cloud でも一般提供を始めました。1回で作れる動画は前の版の10秒から15秒に延び、720p の料金は1秒あたり約0.07ドルと3割下がっています。Gemini API では有料プランから使え、無料枠はありません。前の版の gemini-omni-1.1-flash を呼んでいるコードは、12月3日から自動で 1.2 に回され、1.2 の料金で請求されます。
背景と文脈
Gemini Omni は、文章や画像から動画を作り、できた動画の手直しや延長もできるモデルのシリーズです。前の版の Omni 1.1 Flash は、長さが10秒まで、出力は 720p だけでした。広告や SNS の縦長動画では15秒が一つの区切りなので、10秒では2本をつなぐ手間がありました。
今回の 1.2 Flash は、開発者向けの API と同時に、Google の自社サービスにも入りました。Google Vids では Google アカウントがあれば追加料金なしで15秒の動画を作れ、Gemini アプリでは Google AI Ultra の契約者から順に使えるようになります。動画編集の Flow や Google 広告にも入っています。
Google Cloud のブログには、Runway・Picsart・invideo・Krea など動画系の8社が使った感想を寄せています。どれも Google が載せた声なので、品質の判断は自分で試してからにしたほうが安全です。
技術/ビジネス面

長さは3秒から15秒まで1秒きざみで選べ、指定しなければ10秒です。画面の向きは横長の16:9と縦長の9:16の2種類。解像度は 360p・720p・1080p・4K から選べますが、公式ドキュメントによると 1080p と 4K は 720p で作ったものを拡大した出力です。音声は何も指定しなくても付き、せりふ・音楽・効果音まで入ります。
入力には、文章のほかに参照画像を最大6枚まで渡せます。登場人物1人につき3枚まで、人物は2人までです。最初と最後のコマを画像で決める使い方もありますが、この場合の長さは10秒までに限られます。できた動画の延長は1回3〜10秒で、合計30秒まで伸ばせます。
料金は出力した動画のトークン数で決まります。720p は1秒あたり5,792トークンで、出力の単価は100万トークンあたり12ドルです。1.1 Flash は同じ単価が17.5ドルだったので、ここが下がった分がそのまま3割安になりました。生成した動画には、見えない電子透かしの SynthID が入ります。Gemini アプリや Flow で作った動画には、来歴を示す C2PA の情報も付きます。
開発者として試すなら
呼び出しには、Gemini API の Interactions API を使います。モデル名は gemini-omni-1.2-flash です。公式ドキュメントの例を短くすると、次のようになります。
import base64
from google import genai
client = genai.Client()
interaction = client.interactions.create(
model="gemini-omni-1.2-flash",
input="A marble rolling fast on a chain reaction style track.",
response_format={"type": "video", "duration": "15s", "aspect_ratio": "9:16"},
)
with open("marble.mp4", "wb") as f:
f.write(base64.b64decode(interaction.output_video.data))
結果は標準ではレスポンスの中に base64 で返ってきます。4MB を超える動画は delivery に uri を指定してファイルとして受け取り、状態が ACTIVE になるまで待ってからダウンロードします。手直しをしたいときは、前の結果の ID を previous_interaction_id に渡して、直したい内容を文章で書きます。
料金を前の版と比べると、次のとおりです(公式の料金ページの目安。1.1 は 720p の値しかありません)。
| 項目 | Omni 1.1 Flash | Omni 1.2 Flash |
|---|---|---|
| 最大の長さ | 10秒 | 15秒(延長で30秒まで) |
| 動画の出力単価(100万トークン) | 17.5ドル | 12ドル |
| 360p の1秒 | なし | 約0.023ドル |
| 720p の1秒 | 約0.10ドル | 約0.07ドル |
| 1080p の1秒(拡大) | なし | 約0.104ドル |
| 4K の1秒(拡大) | なし | 約0.209ドル |
15秒の 720p 動画1本で約1.04ドル、同じ長さを 4K にすると約3.13ドルです。ためし撮りは 360p で行い、構図が決まってから 720p 以上で作り直すと、1本あたり3分の1以下で何度も試せます。
つまずきやすい点もドキュメントに書かれています。response_format で長さを指定すると、プロンプトの文章に書いた長さより優先されます。15秒を超える長さや、最初と最後のコマを指定して10秒を超える長さは、エラーで返ってきます。Vertex AI 側では GenerateContent からは呼べず、バッチ処理にも対応していません。
12月3日の自動切りかえにも備えが要ります。1.1 のモデル名のまま動いている処理は、その日から 1.2 の出力に変わります。料金は下がりますが、同じプロンプトでも絵や音は変わるので、見た目をそろえたい処理は先に 1.2 で試しておくと、当日に驚かずに済みます。
Hacker News の投稿には、11月6日時点で140件を超えるコメントが付きました。発表と同時に使えることを評価した人がいる一方、お金を払わないと試すこともできないことへの不満が多く出ています。AI Studio ではなく OpenRouter 経由で使ったほうが楽だと書いた人もいました。
これからどうなるか
15秒が1回で作れるので、広告やショート動画を量産する仕組みでは、2本をつないで15秒にしていた処理を1回の呼び出しにまとめられます。720p で100本作っても約104ドルなので、A/B テスト用に何十案も作る使い方が現実的な費用に収まります。
アプリに動画生成を組みこんでいる開発者は、12月3日までに 1.2 での出力を確かめ、料金の試算を新しい単価で作り直しておくと、請求額の見込みがずれずに済みます。延長を使って30秒の動画を作る場合は、1本の費用が15秒の約2倍になる点も見積もりに入れておく必要があります。
Google は、検索と Chrome で C2PA の情報を確かめられるようにする予定だとしています。実現すれば、動画を見る人が、AI で作ったものかどうかをブラウザや検索結果から自分で確かめられるようになります。日付はまだ出ていません。
まとめ
Gemini Omni 1.2 Flash は、1回で作れる動画を15秒に延ばし、720p の料金を1秒約0.07ドルに下げました。使えるのは Gemini API の有料プランからで、呼び出しは Interactions API です。1.1 を使っているなら、12月3日の自動切りかえの前に 1.2 で出力を確かめてください。ためし撮りは 360p にすると費用を抑えられます。
参考リンク
- Introducing Gemini Omni 1.2 Flash(Google ブログ)
- Gemini Omni 1.2 Flash now GA(Google Cloud ブログ)
- Gemini Omni のドキュメント(Google AI Studio)
- Gemini API の料金(Google AI Studio)
- Gemini Omni 1.2 Flash(Hacker News)
アイキャッチ画像: Photo by Joanne Caselyn on Unsplash

