Valve、AIクローン対策は「本物を最良に」 Steamで回答

black xbox one game controller AI

SteamのValveが10月27日、韓国・釜山で開いた開発者向けイベントで、AIで作られたクローンゲームや低品質ゲームへの懸念に答えました。開発者からは「AIで先にコピーを出すぞ」と金銭を要求されたという報告まで出ています。Valveの答えは、使う道具は制限せず、コミュニティと継続的な更新で「本物を最良の版にする」というものでした。AIでゲームを複製しやすくなった今、プラットフォームがどこまで線を引くかが問われています。

背景と文脈

ここ1か月ほどで、AIのコーディング支援を使ったゲームの移植や複製が一気に増えました。既存ゲームを解析してブラウザ版やPC版に作り直す作業が、以前よりずっと短時間でできるようになったためです。GitHubには、Slay the Spire 2やCeleste、RimWorldといったインディーゲームの非公式版に対して、DMCA(米国の著作権法に基づく削除要請)が相次いで届いています。

大手も動いています。Kotakuの記事によると、Epic Gamesは10月10日にFortniteのブラウザ移植版へ削除要請を出しました。MicrosoftもMinecraftやCall of Duty、Haloのブラウザ版に複数の要請を出しています。AIを積極的に使う企業が、AIによる複製には厳しく対応している点を、同記事は皮肉を込めて指摘しました。

Steamでも、新作体験イベントNext Festに低品質なゲームがあふれているとの不満がSNSで広がっていました。いわゆる「AIスロップ(AIで量産された粗悪なコンテンツ)」の問題です。

技術/ビジネス面

black and green xbox one game controller
Photo by @felirbe on Unsplash

イベントはSteam Indie Connectで、ValveのSteamビジネスチームのTom Giardino氏らが登壇しました。脅迫メールの件について、同氏はこうした事例を聞くのは初めてだと答えています。そのうえで、恐喝はストアより警察が扱う問題だとしつつ、Valveにも報告してほしいと呼びかけました。

同氏は、流行ゲームの模倣品はAI以前からあり、AIはその速度を上げただけだと説明しました。対策として挙げたのは二つです。一つは、開発者サイトやプレイヤーとの交流で信頼を築くこと。もう一つは、機能や個性を足し続け、真似しやすい単一の仕組みに頼らないことです。海賊版対策で強いDRM(コピー防止の仕組み)に頼らず、正規版を一番良くする方針と同じ考え方です。

Next Festについても説明がありました。最初の2日間はゲームをほぼランダムに表示し、その後は個人向けのおすすめに切り替えます。早い者勝ちの操作を防ぐためですが、低品質なゲームも露出する欠点は認めました。参加数は3年前の50〜100本から数千本に増えています。Valveは事前の選別ではなく、探しやすくする機能の改善で対応する姿勢を崩していません。

これからどうなるか

Valveは道具の選択には口を出さず、質の判断をプレイヤーの行動に任せる立場です。可視性は購入数とプレイ数で決まり、ウィッシュリストの数は影響しないとも説明しました。結果として、クローンが出ても遊ばれ続ける本物が残る、という読みです。

ただ、小規模な開発者にとっては、短期間でコピーが出回るだけで売上の機会を失いかねません。ゲームに限らず、Webサービスやアプリを作る開発者も同じ状況にあります。AIで画面や挙動を真似しやすくなった以上、差別化は運営の継続性やデータ、利用者との関係で作る必要があります。公開リポジトリのライセンス表記や、模倣を見つけたときの削除要請の手順も、事前に確認しておく価値があります。

今後は、プラットフォーム側がAI生成の申告や検出をどこまで求めるかが焦点です。Valveが選別に踏み込まない一方、他のストアが別の判断をすれば、開発者の出し先にも影響しそうです。

まとめ

Valveは、AIによるクローンや低品質ゲームの増加に対し、道具を制限せず、コミュニティと継続的な更新で本物を守るよう開発者に呼びかけました。DMCAによる削除要請も増える中、作り手は模倣されにくい価値をどう積み上げるかが問われています。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Ammar ABU-ZAiD on Unsplash

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