米DHS、DeepSeekを連邦政府から排除 派生製品も対象

The united states capitol building under a clear blue sky AI

米国土安全保障省(DHS)が、中国のAI企業DeepSeekの製品を連邦政府の文民機関から締め出す命令を官報で公示しました。新たな調達を禁じるだけでなく、すでに使っている製品の撤去も求めています。対象にはDeepSeek本体に加え、DeepSeekの技術を使って作られた第三者の製品やサービスも含まれます。AIモデルが「どこの技術でできているか」を政府調達で問う、初めての本格的な事例になりそうです。

背景と文脈

DeepSeekは2025年1月に推論モデルR1を公開し、低コストで高性能なモデルとして業界を驚かせました。Nvidia株が急落するほどの反響があり、その後は各国の政府や規制当局がDeepSeekの利用を調べてきました。米国でも2025年12月の法律で、情報機関の国家安全保障システムでの利用が制限されています。

今回の命令は、その制限を一般の文民機関にまで広げるものです。根拠は2018年の連邦調達サプライチェーン安全法(FASCSA)です。この法律は、リスクのある製品を政府の調達やIT環境から外す権限を国土安全保障長官に与えています。命令番号は2026-01で、署名は7月24日、官報への掲載は10月20日でした。

9月には、CISA(米サイバーセキュリティ・インフラストラクチャ安全保障庁)が注意喚起aa26-251aを出していました。DeepSeekを含む中国のAI企業6社が、米国製AIの出力を大量に集めて自社モデルを鍛える「蒸留」を行ったと指摘する内容です。OpenAIとAnthropicも、DeepSeekによる同様の試みを確認したと公表しています。

技術/ビジネス面

a person holding a cell phone in their hand
Photo by Solen Feyissa on Unsplash

命令は2つの柱でできています。1つ目は調達からの除外で、発令直後から効力があります。承認済み製品リストや電子調達サイトなど、IT製品を買う経路すべてが対象です。2つ目は撤去で、DeepSeekと関連会社の製品、DeepSeekの実装を使って作られた第三者の製品を機関のITから外すよう求めています。

リスクの説明は具体的です。DeepSeekのサーバーは中国にあり、中国の法律は政府による民間インフラへのアクセスを広く認めています。アカウント作成時に個人情報を集め、端末の指紋のような識別情報を取る可能性も挙げました。さらに、iOSアプリに重大な脆弱性が複数見つかった研究や、モデル自体に悪意あるコードが潜む恐れにも触れています。

例外の申請は、発令から60日以内に書面で行う必要があります。業務への影響や代わりの対策を添えて、CISAが可否を判断します。撤去が終わるまでの間は、通信の監視やログの強化、データ持ち出しの制御を推奨しています。国防総省や情報機関の国家安全保障システムは、別の権限で扱うため対象外です。

中国外務省の毛寧報道官は「国家安全保障の概念を拡大解釈している」と反発しました。

これからどうなるか

最大の論点は「DeepSeekの実装を使って作られた製品」の範囲です。命令文はオープンウェイト(重みが公開され、誰でも手元で動かせるモデル)を自社サーバーで動かす場合に明示的には触れていません。DeepSeekのモデルをファインチューニング(追加学習で用途向けに調整すること)した派生モデルがどう扱われるかも、今後の運用次第でしょう。

命令は1年以内に見直され、その後も毎年確認されます。中国側も23のAI技術を輸出規制に加える案を出しており、米中のAI技術の分断は一段と進みそうです。

開発者にとっては、自社製品に使っているモデルの出どころを説明できる体制が必要になります。米政府向けにSaaSを売る企業なら、基盤モデルや埋め込みモデルの一覧を作り、DeepSeek系が混じっていないか点検しておくと安心です。

まとめ

DHSはFASCSAに基づき、DeepSeekの製品と、その技術で作られた第三者製品を連邦の文民機関から排除する命令を出しました。調達の除外は即時で、例外申請の期限は60日です。派生モデルの扱いなど曖昧な点も残り、AIの供給網を説明する責任が企業側に広がっていきます。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Demian Du on Unsplash

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