米国のメモリ半導体大手Micronの株価が過去1か月で236%上昇し、時価総額でメタやテスラを超えました。2026年第3四半期の売上高は前年同期比4倍の414.5億ドル(約6兆円)に達し、利益も18.8億ドルから282億ドルへ急拡大しています。ウォール街のアナリストはMicronをNvidiaに次ぐAIインフラ受益企業と位置づけており、その背景にはAIモデルの学習・推論に不可欠なメモリ不足が2027年まで続くとの見通しがあります。
背景と文脈
Nvidiaの株価急騰がAIブームを象徴する出来事として注目を集めた後、投資家の関心はAIサプライチェーンの別の要素へと移り始めています。大規模言語モデル(LLM:Large Language Model、大規模言語モデル)の学習や推論には、GPU本体だけでなく大量の高速メモリが不可欠です。特にHBM(High Bandwidth Memory、広帯域メモリ)と呼ばれる高速メモリはNvidiaのH100・B200シリーズに搭載されており、その製造を担う企業の一つがMicronです。
従来のメモリ産業はスマートフォンやPC向けの需要に左右される景気循環型ビジネスとして知られていました。需要が落ち込むと価格が暴落し、大幅な赤字に転落するサイクルが繰り返されてきた経緯があります。しかしAI向けメモリ需要はその性質が異なります。データセンターへの大型投資が続く限り、需要は持続するとみられているのです。
アナリストが「RAMageddon」と呼ぶメモリ不足は少なくとも2027年まで続くと予測されています。供給能力の拡大には製造ラインの建設から量産まで数年を要するため、需要の急増に生産が追いつかない状況が当面継続する見通しです。
技術/ビジネス面

Micronが従来と異なる点は、長期供給契約による事業の安定化です。NvidiaやAnthropicを含む16社と長期供給契約を締結しており、これにより従来の「需要急落→価格暴落」というメモリ産業特有のサイクルリスクを一定程度回避できる構造を作り上げています。
直近の決算数字はその成果を示しています。売上高414.5億ドルは前年同期比4倍、利益は18.8億ドルから282億ドルへと15倍近く伸びました。半導体産業では異例の急拡大です。株価は6月28日終値で1株1,132ドルを記録しており、過去1か月だけで時価総額がメタやテスラを上回る水準まで膨らんでいます。
ただし懸念もあります。長期契約が需要変動の緩衝材になるとはいえ、AI向けメモリ需要が予測通りに拡大し続けるかどうかは不確実です。AI開発投資が減速したり、次世代チップがより少ないメモリで同じ性能を達成したりする場合、サイクルが反転するリスクがあります。アナリストの中にも「持続的な利益成長が本当に実現できるかは今後を見守る必要がある」という慎重な見方があります。
これからどうなるか
MicronはAIインフラ投資の恩恵を直接受ける企業として、今後も注目を集めることになりそうです。HBMの次世代規格であるHBM4の量産競争では、MicronはSK HynixやSamsungと激しく競っており、この分野でのシェア拡大が収益の持続に直結します。
開発者の視点では、AIインフラのコスト構造を考えるうえでメモリ供給の動向は重要です。クラウドのGPUインスタンス価格や、自社データセンターを持つ企業のハードウェア調達コストは、HBM供給量と単価に強く影響されます。「RAMageddon」が続く間は、LLMの大規模推論コストが下がりにくい環境が続くと予測できます。
一方でMicronの快走がいつまで続くかは慎重に見る必要があります。メモリ産業の歴史は、過去にも「今度こそサイクルを脱却した」という期待が後に裏切られた事例に事欠きません。投資家にとっても開発者にとっても、AI需要の実態を定期的に再評価する姿勢が求められます。
まとめ
Micronの株価が過去1か月で236%上昇し、第3四半期売上が前年比4倍の414.5億ドルに達しました。NvidiaやAnthropicを含む16社との長期契約でサイクルリスクを緩和しており、ウォール街は「次のNvidia」と評価しています。AIメモリ不足が続く間は追い風が続きますが、需要の持続性には注視が必要です。
参考リンク
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