GitHubは2026年6月1日をもって、Copilotの課金体系をAIクレジット制に移行しました。フラット定額から、トークン(AIが処理するテキストの最小単位。日本語なら1〜3字で1トークン程度)消費量ベースの従量課金へと転換するもので、Pro月$10プランでは月2,000クレジット(1クレジット=$0.01)が付与されます。Claude Sonnet 4.5やo3-proといった高性能モデルを使い込むと数日で枯渇するため、Redditやコミュニティ上では「月$29が$750〜$3,000に跳ね上がる」との試算が相次ぎ、激しい批判が広がっています。マイクロソフトは取材に対し、発表時点では回答していません。
背景と文脈
GitHubがCopilotを一般公開したのは2022年です。月$10(個人向けProプラン)の定額で、コード補完・チャット・コードレビューを使い放題という設計が開発者に支持されてきました。2024〜2025年にかけてはGPT-4o、Claude Sonnet、Geminiなど複数モデルを選べるようになり、フラット料金のまま高性能モデルを使い倒せる構造がより鮮明になっていました。
しかし、この構造はMicrosoftにとって持続しにくいものでした。2025年末から「プレミアムリクエスト制」(月内の使用上限をモデルごとに設ける仕組み)を試験導入しましたが、上限到達後は機能が停止するため不評でした。さらに2026年春には、企業がAI支出のROI(Return on Investment、投資対効果)を問い始め、MicrosoftはClaude Codeライセンスを大量に解約したと報じられています。コスト圧力はプラットフォーム側にも波及していました。
2026年4月に発表されたAIクレジット制は、こうした背景から生まれた「透明性ある従量課金」への転換です。「使った分だけ課金」の明確さを打ち出しつつ、ヘビーユーザーには超過分の追加購入を促す仕組みになっています。
技術/ビジネス面

新しいAIクレジット制の仕組みは次の通りです。各モデルのAPIトークン消費量(入力・出力・キャッシュを含む)をドル換算し、1クレジット=$0.01として集計します。プランに含まれるクレジット内は追加費用なし、超過分は自動で課金されます。
各プランの月額とクレジット付与量を示します。Copilot Pro($10/月)は2,000クレジット付与で、GPT-4oベースのチャットなら1日10〜15回程度まかなえます。しかしClaude Sonnet 4.5やo3-proは消費単価が大きく、数日で枯渇します。Copilot Pro+($39/月)、Business($19/ユーザー/月)、Enterprise($39/ユーザー/月)はそれぞれより多くのクレジットが付与されます。
Redditでは具体的な試算が飛び交っています。毎日フル稼働で使うと月$750超になるという声や、大規模コードベース全体をコンテキストに貼り付けながら使うと$3,000に届くという投稿もあります。これらはバイブコーディング(vibe coding:膨大なトークンを消費しながら反復的にAI生成を繰り返す開発スタイル)を想定した極端な例という見方もありますが、大規模プロジェクトを扱うエンジニアには無縁ではありません。
一方、コード補完とNext Edit Suggestions(次の編集候補を自動提示する機能)はクレジット対象外です。IDEでの自動補完をメインに使う軽量ユーザーへの影響は限定的です。月次Proプランは6月1日に自動移行、年次契約者はプラン更新日まで現行制度が継続します。ただし年次契約者向けにも6月1日からモデル乗数(model multipliers)が引き上げられるとの報道があり、実質的な値上げが段階的に進む見通しです。
これからどうなるか
最も直接的な影響を受けるのは、CopilotをAI駆動の設計・実装補助に毎日フル活用しているエンジニアです。1セッションで数万トークンを消費することも珍しくない昨今、Pro月$10プランでは数日で上限に達します。
対応策として有効なのは3つです。第一に、プランをBusinessやEnterpriseに切り替えて組織単位で予算管理すること。第二に、コンテキスト長を意識したプロンプト設計(不要なファイルを渡さない、会話履歴を定期リセットするなど)でクレジット消費を抑えること。第三に、Cursor・Windsurf・Amazon Qなど競合ツールとのコスト比較を改めて行い、乗り換えも選択肢に入れることです。
自社のCI/CDパイプラインやコードレビューフローにCopilot APIを組み込んでいる開発チームは、月次コストの試算と超過アラートの設定を早急に見直す必要があります。上限管理機能の充実度が今後の競合ツールとの差別化ポイントになりそうです。
まとめ
GitHubは6月1日からCopilotをAIクレジット制に移行しました。Pro月$10プランでは2,000クレジットが付与されますが、高性能モデルを多用すると数日で枯渇します。コード補完は引き続き無料のため、軽量ユーザーへの影響は限定的です。一方、チャットや大量推論を毎日行うエンジニアは月次コストを再試算し、プロンプト設計の見直しか上位プランへの移行を検討する必要があります。
参考リンク
- GitHub Copilot is moving to usage-based billing (GitHub Blog)
- What a joke – GitHub Copilot’s new token-based billing spurs consternation among devs (TechCrunch)
- Usage-based billing for individuals (GitHub Docs)
アイキャッチ画像: Photo by Jantine Doornbos on Unsplash

