SambaNova、10億ドル調達で評価額110億ドルに

silver round coins and banknotes AI

AI推論向け半導体を手がける米SambaNova Systemsが、シリーズFの1回目クローズで10億ドル(約1500億円)を調達し、評価額110億ドルに達したと発表しました。2026年2月のシリーズE(3億5000万ドル)からわずか5カ月での大型調達で、AI半導体市場の資金流入の勢いを改めて示しました。

背景と文脈

SambaNovaは2017年創業のAI半導体企業で、大規模言語モデルをオンプレミス環境やクラウドで効率的に動かすための専用チップ「SN40L」「SN50」を開発しています。Nvidiaの汎用GPUとは異なり、推論(学習済みモデルに実際の入力を与えて答えを出させる処理)に特化した設計が特徴です。同様に推論特化型チップを手がける企業にはGroqやCerebrasもあり、Nvidia一強だった市場に複数の挑戦者が並び立つ構図が続いています。

2025年末には、Intelが同社を約16億ドルで買収する交渉を進めていたものの、話がまとまらず頓挫した経緯があります。買収話が流れたわずか半年余りで自力による大型調達にこぎ着けた形で、独立路線を選んだ格好です。

背景には、大規模言語モデルの推論需要が世界的に急拡大し、Nvidiaの汎用GPUだけでは調達待ちや価格高騰が起きやすくなっている事情があります。SambaNovaは自社の立ち位置を「プレミアム推論」と位置づけ、大規模モデルを高速かつ低コストで動かす専用設計に投資を集中させてきました。

技術/ビジネス面

a person holding up a piece of electronic equipment
Photo by Akshar Dave🌻 on Unsplash

今回のシリーズFはGeneral Atlanticが主導し、Intel、T. Rowe Price、Capital Group、BlackRock、Vista Equity Partners、カタール投資庁、Battery Venturesなど、機関投資家を中心とした顔ぶれが並びました。買収を検討していたIntelが一転して出資に回っている点も目を引きます。

技術面では、2026年2月に発表した新チップ「SN50」が柱です。前世代の「SN40L」から性能を引き上げ、1ラックに複数兆パラメータ級の巨大モデルを収めて高速に動かせる設計になっています。顧客にはJPMorgan Chase、サウジアラムコ、Intel、複数の日本企業が名を連ね、ソフトバンクがSN50の初期導入パートナーになると発表されています。

特にJPMorgan Chaseが新たに顧客として加わったことは、金融機関のように機密性の高いデータを扱う業界でも、Nvidia以外のオンプレミス推論基盤が実運用段階に入りつつあることを示す事例といえます。既存顧客のサウジアラムコやIntelに続き、大手金融機関の採用が公になったことで、営業面での説得力も増しています。

これからどうなるか

OpenAIやAnthropicのような大手が自社開発チップへの投資を強める一方、SambaNovaのような専業スタートアップにも金融機関や政府系ファンドから資金が集まる構図が続いています。推論需要の急増を背景に、Nvidia以外の選択肢を求める企業ニーズが調達額に反映されていると見られます。

出資者にカタール投資庁のような政府系ファンドが名を連ねている点も見逃せません。AI半導体への投資が、一民間企業の資金調達にとどまらず、国家レベルの計算資源確保の争いに組み込まれつつあることをうかがわせます。

自社サービスでLLMを動かす開発者にとっては、Nvidia一強だった推論基盤の選択肢が今後さらに広がる可能性があります。オンプレミス運用やコスト最適化を検討する際、SambaNovaのような専用チップ勢の動向は価格交渉やベンダー選定の材料としても無視できなくなりそうです。

まとめ

買収話が流れてもわずか半年で10億ドルを集めたSambaNovaは、AI推論チップ市場での存在感を一段と強めています。SN50の実運用が広がるかどうかが、次の評価額を左右しそうです。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Katie Harp on Unsplash

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