医療AI「OpenEvidence」が、医師や看護師から「医療版ChatGPT」と称され、評価額60億ドルで2億ドルの大型資金調達を計画していると報じられました。わずか3ヶ月で評価額が急上昇しており、業界特化型AIへの投資家の強い関心が伺えます。JAMAなどの医学論文で訓練されたこのツールは、医療従事者へ無償で情報を提供し、月間1500万件の診療相談を処理するまでに急成長しています。
医療AI「OpenEvidence」が大型資金調達
医療AI「OpenEvidence」が、評価額60億ドルで2億ドルの資金調達を計画していると、ニューヨーク・タイムズが報じた。
この発表は、3ヶ月前の前回ラウンドからわずかな期間で実現する。前回は2億1000万ドルを調達し、評価額は35億ドルだった。
短期間での評価額の急上昇は、産業特化型AIアプリケーションへの投資家の強い期待と関心の表れである。特に医療分野では、正確性と即時性が求められるため、OpenEvidenceのような専門性の高い医師向けAIへの注目度が高い。
この資金は、OpenEvidenceのさらなる技術開発やサービス拡大に充てられる見込みだ。
OpenEvidenceとは？医師向けAIの全貌
OpenEvidenceは、医師や看護師によって「医療版ChatGPT」と形容される医療AIツールである。主な機能は、医療従事者が既存の医療知識に関する迅速な回答を得るのを支援し、患者の治療に役立てることにある。
具体的には、OpenEvidenceのプラットフォームは、JAMAやニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンといった権威ある医学雑誌のデータで訓練されている。
検証済みの医療専門家は、広告によって支えられているこの医師向け無料AIツールを無料で利用できる。OpenEvidenceは、医師向けAIとして、最新の医学論文に基づく医療情報検索を可能にし、現場の意思決定をサポートする。
医学論文に基づく医療情報検索と無料提供
OpenEvidenceの最大の強みは、その情報源が厳選された医学論文にある点だ。これにより、医療従事者は信頼性の高いエビデンスに基づいた情報を迅速に得られる。
この医学論文に基づく医療AIは、診断支援や治療方針の策定において、医師の判断を補完する役割を果たす。従来の医療情報検索に比べ、効率的かつ専門性の高い情報アクセスが可能となる。
さらに、検証済みの医療専門家に対して医師向け無料AIツールとして提供されている。この無料提供モデルは、広告収入によって支えられており、多くの医療従事者が気軽に利用できる環境を提供している。
結果として、医療現場における情報格差の解消にも貢献する可能性を秘めている。これは、医療サービスの質の向上に直結する重要な要素だ。
急成長の背景とGoogleなど主要投資家
OpenEvidenceは2022年の設立以来、急速な成長を遂げている。ニューヨーク・タイムズの報道によると、月間の診療相談件数は7月からほぼ倍増し、1500万件に達した。
この驚異的な成長は、現場の医師が求める迅速かつ正確な医療情報へのニーズが非常に高いことを示している。OpenEvidenceが提供する医師向けAIの価値が、市場で強く認識された結果と言えるだろう。
今回の資金調達は、Google Venturesが主導し、セコイア・キャピタル、クライナー・パーキンス、ブラックストーンなどの著名投資家が参加した。大手VCからの大規模な投資は、OpenEvidenceの技術と市場開拓能力への強い信頼を裏付けるものだ。
今後もOpenEvidenceは、医師向けAIの分野で医療情報検索の新たな標準を築くことが期待される。
