【提言】Google AIの検索独占に警鐘!Cloudflareが規制強化を要求

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ウェブインフラプロバイダーのCloudflareは、GoogleのAI分野における検索独占に対し、規制強化を強く提言しています。同社は、Googleが既存の検索クローラーとAIクローラーを統合している現状が、公正な競争環境を阻害していると指摘。Googleがコンテンツプロバイダーに不公平な条件を課していると批判しています。英国の競争・市場庁(CMA)もGoogleの市場支配力を懸念しており、検索とAIクローラーの分離が、AI市場の健全な発展に不可欠だと主張しています。

CloudflareがGoogle AI規制強化を提言する背景

Cloudflareは今年7月1日、ウェブサイトがAIボットによるコンテンツスクレイピングに対して課金できるマーケットプレイスを立ち上げました。この動きに続き、同社はAI分野における規制強化の必要性を訴えています。CEOのマシュー・プリンス氏は先日、英国の競争・市場庁(CMA)と会談し、Googleの検索支配力を鑑みたAI競争における厳格なルールを提案しました。

プリンス氏は、CloudflareがAI事業自体には参入しておらず、メディア事業者でもないため、中立的な立場で提言できると強調。世界のAI企業の約80%がCloudflareの顧客であることから、AIエコシステム全体への深い知見を持つと説明しています。この公正な立場から、GoogleのAI競争における優位性に対する懸念を表明しているのです。

GoogleのAIクローラー統合が招く不公平な競争

プリンス氏は、Googleが既存のウェブクローラーを検索エンジンだけでなく、AI製品やサービスにも流用している点を強く批判しています。この統合されたアプローチは、Googleに不公平な優位性をもたらし、他のAI企業がコンテンツにアクセスする上で不利な状況を生み出しています。

Googleは「世界のあらゆるコンテンツを、たとえ対価を払わなくても利用する絶対的な権利がある」と主張しているとプリンス氏は指摘。さらに、検索用と同じクローラーをAIシステムにも使用し、コンテンツ提供者がどちらかを拒否すれば両方とも拒否せざるを得ない状況だと述べました。メディア企業にとって、検索からのトラフィック喪失は収益の約20%を失うことにつながるため、この選択は現実的ではありません。また、Googleのクローラーを遮断すると、広告表示も停止する問題も発生します。

検索とAIクローラー分離が公正な市場を築く鍵

Cloudflareは、GoogleのAIクローラー統合が、Anthropic、OpenAI、Perplexityといった他のAI企業がコンテンツに正当な対価を支払う機会を奪っていると主張します。Googleはこの統合により、他社が有料でアクセスするコンテンツに無償でアクセスできてしまうため、競争が著しく歪められています。

プリンス氏は、解決策として市場における競争の促進を提唱しています。数千のAI企業が、数千のメディア企業や数百万の中小企業からコンテンツを公正に購入できる市場環境を築くべきだと述べました。英国CMAがGoogleを規制対象として注視している動きを評価し、これはGoogleの独特な優位性を認識している証拠だと指摘。CloudflareはCMAに対し、Googleクローラーの仕組みと、なぜ他社が同様の成功を再現できないかを示すデータも提供しています。

先月には、米国最大級のデジタル出版社People, Inc.のCEOであるニール・ヴォーゲル氏も同様の意見を表明しました。同氏はGoogleを「悪質なアクター」と呼び、クローラーが統合されているためメディア企業にはコンテンツのクロールを拒否する選択肢がないと批判。CloudflareのAIクローラー遮断ソリューションを導入した結果、複数の大手LLMプロバイダーとの交渉が進んでいると述べています。

英CMAも注視?高まるGoogle AI独占への懸念

英国の競争・市場庁(CMA)は先日、Googleを検索および広告市場において「相当かつ強固な地位」を持つ企業として特別に指定しました。この措置により、CMAはGoogleのAI Overviews、AI Mode、Discoverフィード、Top Stories、Newsタブといった新たなサービスにも、より厳格な規制を課すことが可能になります。

この動きは、GoogleのAI分野における支配力が市場競争を歪め、イノベーションを阻害する可能性が高まっているという国際的な懸念を反映しています。米国の学術機関からも、Googleのデータ独占が競争に与える影響について深く議論されており、検索とAIクローラーの分離といった具体的なAI規制が、公正な市場を築く上で不可欠であるとの見方が強まっています。イェール法科大学院の論文でも、データ独占に対する規制の重要性が指摘されています。

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