【注目】CercliがMENA地域のAI人事システムを再構築!1200万ドル調達で統合HRテックを加速

AI

ドバイ拠点のスタートアップCercliが、MENA地域向けのAI人事システム再構築で1200万ドルのシリーズA資金調達を実施した。この統合型HRテックプラットフォームは、中東北アフリカ地域における断片的な人事・財務システムの課題を解決することを目指す。AIを中核に据えた独自アーキテクチャにより、企業向け統合型HR財務プラットフォームとして迅速なオンボーディングを実現する。

Cercli、MENA向けAI人事SaaSで1200万ドル調達

ドバイに拠点を置くCercliは、欧州のベンチャーキャピタルであるPicus Capital主導のもと、1200万ドルのシリーズA資金調達を完了した。この資金は、MENA地域(中東北アフリカ地域)の企業向けにAIを中核とする統合人事(HR)システムを構築するため活用される。同社は元Careemの幹部であるアキード・アズミ氏とデビッド・レーチェ氏が創業。昨年2024年9月2日には400万ドルのシードラウンドを調達していた。

Cercliは過去1年間で収益を10倍以上に拡大し、現在では50か国の複数の企業で年間1億ドル以上の給与処理を手掛ける。今回の資金調達には、Picus Capitalのほか、Knollwood Investment Advisory、既存投資家のY Combinator、Afore Capital、COTU Venturesが参加。Picus Capitalにとって、CercliはMENA地域への初の投資となる。

MENA地域HRテックの課題とCercliの統合戦略

MENA地域では、従来から企業システムが断片化しており、コンプライアンスツールは古く、人事ソフトウェアと財務システムが連携しないという課題を抱えていた。DeelやRemoteといった新興企業や、SAP、Oracleといった既存の大手企業がひしめくHRテック市場において、CercliはAIを中核とする統合戦略で差別化を図る。

CercliのCEOであるアズミ氏は、給与処理が複数のシステムに分散し、地域ごとにコンプライアンス要件が異なる現状に注目した。同社は当初、グローバル展開するMENA地域の企業向けに、人事管理、給与計算、コンプライアンスを統合するプラットフォームを提供。顧客が求める「すべてを1か所に」というニーズに応え、企業向け統合型HR財務プラットフォームとしての地位を確立していく。

AIネイティブ再構築で実現する高速オンボーディング

Cercliは、AIをシステムの基盤に組み込むことで、より大きな機会を見出した。過去3か月間で、給与計算エンジン全体を複数国対応かつエージェント互換型に再構築。グローバルな管轄区域全体でより効率的に拡張できるようにした。アズミ氏は、「過去20年のレガシーシステムはオンプレミスやクラウド向けに構築されたが、現在はAIネイティブの世界に突入している」と指摘する。

同社は採用モジュールにもAIを導入し、エージェント駆動型の機能を提供。候補者リストの提示、社内データセットからの情報収集、採用適合性のバックグラウンドロジック実行が可能になった。Cercliは、そのAIネイティブなアーキテクチャによって、顧客オンボーディングを2〜3日で完了できると主張。これは従来のシステムで数ヶ月かかる作業と比較して大幅な短縮となる。この強みにより、Vision BankやGlobal Climate Finance Centreなど、スタートアップから多国籍企業まで幅広い顧客を獲得している。

MENAのHRソフトウェア市場をリードするCercliの未来

Cercliは、今回の投資を通じて新たなAIネイティブ製品の開発を進め、MENA地域の58億ドル規模とされるHRソフトウェア市場でのシェア拡大を目指す。同社の独自のAI統合型アプローチは、MENA地域における人事管理の未来を再定義する可能性を秘めている。アズミ氏が指摘するように、レガシーシステムが抱える断片化や非効率性を、AIネイティブなアプローチで根本的に解決しようとしている。

Picus Capitalの創業パートナーであるロビン・ゴーデンラス氏は、Cercliのビジネスモデルがグローバルポートフォリオ内で成功している事例を確認していると述べ、Cercliの市場シェア拡大と新製品投入への期待を表明した。統合HRシステムとして、企業のDX推進や人材戦略の最適化に貢献する「中東北アフリカ地域 AI人事システム」としての役割が注目される。

参考リンク

タイトルとURLをコピーしました