Eka Robotics、評価額14.5億ドル 力覚で物をつかむAI

ロボットの開発に取り組むエンジニア AI

ロボット新興企業のEka Roboticsが、シリーズAで1億5,000万ドルを調達しました。調達後の評価額は14億5,000万ドルです。出資を主導したのはベンチャーキャピタルのa16zとF-Primeです。同社のロボットアームは、指先にかかる力を手がかりに物をつかむ独自のAIで動きます。多様な物を学習し直さずに扱える点が専門家から高く評価されており、ロボットの「手」の分野で一気に存在感を高めています。

背景と文脈

Ekaを創業したのは、MIT教授のPulkit Agrawal氏と、元Google DeepMind研究者のTuomas Haarnoja氏です。2人はUC Berkeleyの大学院で出会いました。どちらもロボットの学習研究で知られる人物です。

ロボット向けAIの主流は今、VLA(Vision-Language-Action、画像と言葉の指示から動作を出力するモデル)です。カメラで状況を見て、「赤い箱を棚に置いて」といった指示を動作に変えます。ただ、この方式は最後の「つかむ」瞬間が苦手でした。柔らかい物を潰したり、滑る物を落としたりしやすいためです。

また、多くの企業は人間が遠隔操作したデータを大量に集めて学習しています。しかし、この方法は手間と費用がかさみます。Ekaはこの2つの課題に、別の道で挑んでいます。

TechCrunchの報道によると、取材を受けた研究者たちはそろって動きの滑らかさに驚いています。イリノイ大学のKris Hauser氏は、学習し直さずに多くの物に対応できた点を評価しました。

技術/ビジネス面

白い背景に立つ人型ロボット
Photo by Mathew Schwartz on Unsplash

Ekaの中心は「vision-force-action」モデルです。言葉の代わりに、力の情報を主な入力にします。Agrawal氏の考えでは、視覚は物のおおまかな位置と向きを知るためのものです。最後の握りは、指にかかる力で調整します。人が目を閉じても物を持てるのと同じ発想です。

ハードウェアも合わせて作り込んでいます。グリッパー(物をつかむ先端部分)は従来品より柔らかく、力センサーを多く積んでいます。接触した瞬間の変化に素早く反応できます。価格は1,000ドル未満で、500万回の開閉に耐えます。目標は産業用アームの標準である2,000万回です。

学習には強化学習(試行錯誤で報酬が増える行動を覚える手法)を使います。舞台は物理シミュレーターで、数分で数千時間分のロボット経験を作れると同社は話しています。人の遠隔操作データに頼らない点が、他社との大きな違いです。詳しい手法は公開していません。

性能の数字も示されています。1kgまでの物を1時間に約1,500個つかみ、人間の約600個の2.5倍です。成功率は95%を超えるといいます。ラズベリーを潰さずに持ち上げるデモも披露しました。用途はまず、物を拾って並べる作業と、配線の取り回しの2つに絞っています。すでに複数の産業向け顧客と非公開の試験導入を進めています。

これからどうなるか

課題も残っています。Hauser氏は、実際の組み立てラインで1年間安定して動くかが試金石になると指摘しました。拾って置く作業以外にどこまで広げられるかも未知数です。

Ekaは自社の役割を、物理的な動作を担う「下の層」と位置づけています。高いレベルの計画はNvidiaのAstraのような汎用モデルに任せ、自社はつかむ動きに専念する構図です。ロボットのAIが、計画と動作の2層に分業していく可能性があります。

ソフトウェア開発者にとっても無関係ではありません。将来、ロボットを扱うAPIは「つかむ」「置く」を任せられる部品になり、上位のエージェントから呼び出す形が広がりそうです。物流や工場のシステムを作る人は、こうした部品をどう組み合わせるかを考える場面が増えるでしょう。

まとめ

Eka Roboticsは、力の感覚を軸にしたAIとシミュレーションでの学習で、評価額14.5億ドルを得ました。人の2.5倍の速さで物を扱う数字は目を引きます。一方で、現場での長期の安定稼働はこれからの検証です。言葉中心のVLAとは違う道が、ロボットの手の分野で通用するかが注目点になります。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by ThisisEngineering on Unsplash

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