ChatGPT、服の仮想試着を全世界で公開 新画像モデルを採用

A person in a wide-sleeved black jacket posing in silhouette against a white background AI

OpenAIは10月1日、ChatGPTの買い物機能に「仮想試着」と「お気に入り」を加え、全世界で公開しました。自撮りや全身写真をアップロードすると、服やアクセサリーを着た姿をチャット内で確認できます。支えるのは新しい画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」です。AIアシスタントが検索サイトの領分だった買い物の入口に踏み込む動きで、ECを手がける開発者にも無関係ではありません。

背景と文脈

OpenAIがChatGPTで買い物を試すのは、今回が初めてではありません。TechCrunchの報道によると、同社は以前に「インスタントチェックアウト」(チャット内で購入まで完結させる機能)を試し、成績が振るわず方針転換した経緯があります。

買い物へのAI活用は他社も進めています。エージェント型AIの新興企業Instinctは、ユーザーに商品を提案する機能を始めました。ただし、先回りの提案を広告のように感じて押しつけがましいと受け取る声も出ています。

ファッション領域では、PinterestとGoogleがここ数年、着こなしの発想源として強い立場を築いてきました。GoogleもすでにGoogle自身の仮想試着を昨年公開しています。OpenAIは後発として、会話という入口で巻き返しを狙う構図です。

OpenAIにとって買い物は、収益源の多角化という意味も持ちます。利用者数が多いChatGPTで商品の発見から比較までを担えれば、広告や手数料といった新しい収入の道が開けます。ただし、押しつけがましい提案は敬遠されるため、体験の設計が成否を分けます。

機能の中身と仕組み

black iphone 7 on white macbook
Photo by Manny Moreno on Unsplash

仮想試着は、ChatGPTの買い物結果に表示される新しい「Try On」ボタンから使います。ユーザーは自分の自撮りか全身写真をアップロードします。そのうえで衣類やアクセサリーが自分に似合うかを視覚的に確認できます。

ウェブページのスクリーンショットなど、商品の画像をアップロードして「これを着せて」と頼む使い方もできます。商品ページがどのサイトでも、画像さえあれば試せる点が実用的です。

もう1つの「お気に入り」は、見つけた商品をアプリ内のライブラリに保存して後から見返す機能です。試着で作った画像も同じ場所に並びます。買い物の検討履歴が1か所に集まる設計です。

土台になるのが、同社が新たに公開した画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」です。OpenAIは、光の当たり方や質感が自然になり、編集の指示に従う確度が上がり、画像生成の待ち時間も短くなったと説明しています。

このほか、ChatGPTは買い物で別の使い方もできると同社は述べています。たとえば、試したい雰囲気を言葉で伝え、完成させるのに必要な服をそろえてもらう使い方です。有名人の服装の写真を渡して、着ている商品のうち購入できるものを探してもらう使い方もあります。

画像モデルの改善点が「光」「質感」「編集指示への追従」「待ち時間」の4点に絞られている点も見逃せません。試着では、服のしわや生地の光沢が不自然だと一気に信頼を失います。言い換えると、画像の品質が購入判断の質に直結する用途です。待ち時間の短縮も、試着を何度も繰り返す体験には欠かせません。

これからどうなるか

最大の注目点は、ChatGPTが衣類を探す最初の場所になれるかどうかです。TechCrunchも、Googleが仮想試着を先に出していることから、ユーザーの第一選択になるかはまだ分からないと指摘しています。

実装者の視点で押さえたいのは、画像モデルの性能向上が、商品画像と人物写真の合成という具体的な機能に直結した点です。自社のECサイトにも、画像生成APIを使った試着や配置シミュレーションを載せる選択肢が現実的になります。インテリアの設置イメージや、メガネ・時計などの小物はとくに相性が良い領域でしょう。

一方で、顔や体の写真を扱う以上、画像の保存期間や学習への利用範囲といったプライバシー設計が導入判断の鍵になります。自社で実装する際は、アップロード画像を保持するか、どこに保存するかを最初に決めておくと後戻りが減ります。

ChatGPTの買い物機能が広がれば、商品情報をAIが読みやすい形で提供することの重要性も増します。商品データの構造化や画像品質の整備は、今から手を付けて損のない投資です。

利用者の側でも、AIが作った試着画像は実物の着こなしを保証しないことを意識しておきたいところです。サイズ感や素材の厚みまでは画像から読み取れません。返品率の低下につながるのか、逆に期待とのずれを生むのかは、今後の利用データで明らかになっていくでしょう。

まとめ

OpenAIはChatGPTに仮想試着とお気に入りを追加し、新画像モデルImages 2.5で買い物体験を強化しました。過去の購入機能は定着しませんでしたが、今回は画像の自然さを武器にしています。EC事業者や開発者は、画像生成APIの活用とデータ整備を視野に入れておくとよいでしょう。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Malicki M Beser on Unsplash

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