Together AI、評価額83億ドルに倍増 — 800億円調達

クラウドインフラを象徴するデータセンターのイメージ AI

AI専用クラウド基盤を手がけるTogether AIが2026年7月1日、シリーズCで8億ドルを調達したと発表しました。サウジアラビア国営石油会社の投資部門Aramco Venturesが主導し、評価額は前回の33億ドルから83億ドルへと2.5倍に拡大しています。年間予約額は直近四半期で11億5000万ドルを突破しており、オープンソースモデルを軸にした事業の急成長を裏付けています。

背景と文脈

Together AIは2022年設立のスタートアップです。Nvidia製GPUを大量に調達し、クラスタ化して企業に貸し出す「ネオクラウド」と呼ばれる事業モデルを採用しています。Meta の Llama や Mistral など、ソースコードやモデルの重み(学習済みパラメータ)が公開された「オープンソースモデル」の実行環境をクラウド上で提供する点が特徴です。

2023年のシリーズAでは1億250万ドルをKleiner Perkinsの主導で調達し、2025年初頭のシリーズBでは評価額33億ドルに到達しました。今回はわずか16カ月ほどでその評価額を2.5倍に伸ばした形です。共同創業者にはスタンフォード大学のPercy Liang教授、CTOにはETHチューリッヒ・シカゴ大学のCe Zhang准教授が名を連ねており、研究畑出身のチームが技術面を支えています。

背景にあるのは、企業がAIモデルを選ぶ基準の変化です。GPT-4やClaudeのような「クローズドモデル(重みや学習データを非公開とし、API経由でのみ使えるモデル)」に頼らず、オープンソースモデルを自社基盤で動かしてコストを抑える動きが広がっています。Together AIはその受け皿として存在感を強めてきました。他のネオクラウド企業も相次いで大型資金調達を進めており、GPUインフラ市場全体が拡大局面に入っています。

技術/ビジネス面

GPUチップの回路基板を写したクローズアップ
Photo by Mathew Schwartz on Unsplash

今回のラウンドはTechCrunchの報道によると、Aramco Venturesが主導し、Vista Equity Partners、General Catalyst、Emergence Capital、March Capital、Pegatron、サイバーセキュリティ企業SentinelOneの投資部門S Venturesなどが参加しました。注目すべきはNvidiaの名前です。自社GPUの主要な借り手であるTogether AIに出資することで、GPU需要の拡大を投資リターンとしても取り込む狙いがあると見られます。半導体メーカーが自社製品の顧客企業に出資する構図は、AIインフラ業界で目立つようになってきたパターンの一つです。

事業指標も好調です。年間予約額は直近四半期時点で11億5000万ドルを超え、Cursor、Cognition、Decagonといった急成長中のAI企業を含む数千社が有料顧客として名を連ねています。業界全体でもオープンソースモデルの利用量はこの12カ月で3倍に増えたとされ、Together AIの成長はその追い風を象徴する事例といえます。

クローズドモデルとオープンソースモデルのどちらを選ぶかは、今や単なる技術選定ではなく明確なコスト戦略の一部になっています。数千社規模の顧客基盤と急成長するARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)は、この流れが一時的な節約志向ではなく構造的な需要であることを示しています。

これからどうなるか

Aramcoのような産業資本、Nvidiaのような半導体大手が相次いでネオクラウドに出資する構図は、AIインフラ市場が次の投資フェーズに入ったことを示しています。GPUの調達力と資金力を持つプレイヤーへの集中が今後さらに進む可能性があります。

開発者目線では、オープンソースモデルをコスト効率よく動かす選択肢が増えるほど、既存のプロダクトでAPIコストを比較検討する余地が広がります。特にAPI呼び出し量が多いプロダクトでは、Llama系やMistral系のモデルをTogether AIのような基盤で動かす選択肢を試算に入れる価値が出てきそうです。CursorやCognitionのようなコーディング支援ツールがすでに顧客に名を連ねている点は、開発者向けプロダクトとの相性の良さを裏付けています。今後もネオクラウド各社への投資は続くと見られ、インフラ側の競争と価格低下は注視すべきポイントです。

まとめ

Together AIは8億ドルの調達で評価額83億ドルに達し、オープンソースモデル需要の急拡大を裏付けました。Aramco主導でNvidiaも参加した今回のラウンドは、AIインフラ投資の新たな焦点がどこにあるかを示す事例です。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Shubham Dhage on Unsplash

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