英CMA、AI検索オプトアウト権をパブリッシャーに付与 — 世界初

newspaper publishing media AI

英国の競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority)は2026年6月3日、デジタル市場・競争・消費者法(DMCC法)に基づき、Googleに対してパブリッシャーがAI検索機能からコンテンツを除外できる仕組みの提供を命じました。対象はAI Overviews・AI Mode・GeminiおよびVertex AIへのコンテンツ提供、さらにAIモデルのファインチューニング(追加学習)への利用まで及びます。通常の検索ランキングへのペナルティは禁じられており、世界初の「AI検索オプトアウト規制」として注目されています。

背景と文脈

GoogleはここAI Mode(AIが答えを直接要約して返す検索モード)やAI Overviews(検索結果上部に表示されるAI生成の概要)を拡充しており、ウェブサイトへのクリック流入が減ると懸念するパブリッシャーからの不満が高まっていました。

CMAは2025年1月の時点でGoogleに対し、パブリッシャーに選択肢を与えるよう促していました。その後の協議でGoogleが十分な対応をしなかったため、DMCC法の「行為要件」として法的拘束力のある命令が出された経緯があります。DMCC法は英国が2024年に制定したデジタル市場規制の根拠法で、一定規模以上のプラットフォームに特別な義務を課します。

EU AI法や米国のAI政策が注目される中、英国がデジタル市場法制のもとで生成AI検索へ具体的な制約を課したのは今回が初めてです。「パブリッシャーへの公正な帰属と選択の自由」という観点での規制モデルとして、他国の政策担当者も注視しています。

技術/ビジネス面

UK regulation digital policy
Photo by Obi on Unsplash

Googleへの命令の内容は多岐にわたります。まずSearch Console(Googleが提供するウェブサイト管理ツール)に新しいトグルを追加し、パブリッシャーがディレクトリ単位・ページ単位でAI検索機能からの除外を選べるようにします。除外を選んだサイトの通常検索ランキングへの影響はなく、Googleはその措置に対して不利益を与えることを禁じられています。

さらにGoogleはSearch Console上に新しい計測機能も追加します。パブリッシャーが自サイトのコンテンツがAI回答でどのくらい表示されているかを国レベルで把握できる、インプレッション指標とページ別リストの提供です。

実施スケジュールはGoogleに約9カ月の猶予が与えられており、最初の1年間は6カ月ごとの経過報告をCMAに提出する義務があります。まず英国でのテスト運用を経て、グローバル展開が予定されています。

これからどうなるか

今回の措置は英国単独の規制ですが、Googleが英国向けにSearch Consoleのトグルを実装すれば、同様の仕組みを他地域に展開するコストは小さくなります。EU・米国・日本のパブリッシャーにとっても、実質的にオプトアウトの選択肢が広がる可能性があります。

自サイトのコンテンツがAI検索に組み込まれているかどうかを把握できるようになる点は、コンテンツ戦略にも直接影響します。「AI検索に表示されることでブランド認知は上がるが、クリック流入は減る」というトレードオフを、データをもとに判断できる環境が整ってきます。

また、ファインチューニングへのオプトアウトが認められた点は注目に値します。自社コンテンツがGoogleのAIモデルの追加学習に使われることを拒否できる権利は、著作権や競争力の観点で意義が大きく、今後の規制議論の参照事例になりそうです。

まとめ

英CMAがGoogleに対し、世界初のAI検索オプトアウト規制を命じました。パブリッシャーはAI Overviews・AI Mode・Geminiへのコンテンツ提供を拒否でき、通常検索ランキングへのペナルティは禁止されます。英国での実施後、グローバル展開が予定されています。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by visuals on Unsplash

タイトルとURLをコピーしました