Walmart、AIエージェントの代理購入を解禁 MCPで接続

woman stepping on shopping cart AI

米小売大手Walmartは10月21日、AIエージェントが利用者に代わって買い物できる仕組みを発表しました。中心となるのは、エージェント向けの接続口Agent Gatewayです。承認されたエージェントは、WalmartとSam’s Clubの在庫を検索し、そのまま購入まで進められます。11月には、エージェントごとに支出の上限や承認方法を決めるAgent Profilesも始まります。Amazonがエージェントによる購入を締め出すなか、Walmartは逆に迎え入れる道を選びました。

背景と文脈

AIエージェントによる買い物は、ここ数か月で現実の話になりました。AIエージェントとは、目的を受けて手順を組み立て、外部のサービスを操作して作業まで進めるAIのことです。Walmartはすでに、MetaのMuseと提携し、ChatGPTやGeminiとも連携しています。自社アプリのアシスタントSparkyを使う利用者は、使わない人より約35%多く買い物をしていると、4月の決算説明で明かしていました。

一方で、締め出す動きも広がっています。TechCrunchの9月の報道によると、AmazonはMetaのエージェントがAmazon.comで買い物するのを止めました。旅行や予約のサイトにも、エージェントを全面的に遮断するところがあります。自社サイトに来る客を外部のAIに奪われたくない、という判断です。

こうしたなか、WalmartのJohn Furner CEOはサンフランシスコのMasters of Scale Summitで今回の方針を語りました。小売の主導権がエージェントへ移る前提で、受け入れの条件を自ら決める姿勢を鮮明にしています。

技術/ビジネス面

supermarket
Photo by Markus Spiske on Unsplash

Agent GatewayはMCPサーバーとして作られています。MCP(Model Context Protocol)は、AIが外部のデータやツールにつながるための共通規格で、Anthropicが最初に作りました。対応するエージェントであれば、個別の作り込みなしにWalmartの検索や購入の機能を呼び出せます。Walmartによると、利用者の個人情報や購入履歴をエージェントに渡さずに、いつものブランドを買えるといいます。

Agent Profilesでは、エージェントごとに専用のプロフィールが利用者のアカウント内に作られます。エージェントの購入は、本人の購入と分けて表示されます。承認方法は、1件ずつ承認するか、決めた上限額まで事前に任せるかを選べます。Walmartはこれを、クレジットカードの家族カードのようなものだと説明しています。誰が使ったかが分かり、使える額にも上限をかけられるからです。

プロフィールは、エージェントが初めてGatewayで買い物したときに作られます。利用者はそれを自分のアカウントにひもづけ、設定を決め、いつでも削除できます。有料会員のWalmart+に入っていなくても使えます。

エージェント側にも条件があります。利用者の意図を超える操作はできず、支払い情報にも触れられません。扱えるデータも、作業に必要な範囲に限られます。規約に反したエージェントはサイトから締め出されます。エージェントが意図どおりに動かなかった場合でも、通常の返品手続きが使えます。

これからどうなるか

注目点は、他の小売や予約サイトがどちらの道を選ぶかです。Walmartの方式が広がれば、エージェントは「勝手にサイトを操作する存在」から「認証された利用者の代理人」へ位置づけが変わります。ただし今回の発表では、支出上限の具体的な額や利用規模の数字は示されていません。

開発者にとっては、ECやSaaSのAPIをどう開くかの手本になります。エージェントごとに身元を分け、上限と承認の流れを持たせ、渡すデータを絞る設計は、自社サービスにエージェントを迎える際の土台として使えます。エージェントを作る側も、利用者の承認待ちや上限超えへの対応を、最初から組み込んでおく必要が出てくるでしょう。

まとめ

WalmartはMCPサーバーのAgent Gatewayで、AIエージェントによる検索と購入を正式に受け入れました。11月からはエージェントごとに上限や承認を設定できます。締め出すAmazonとは対照的な判断で、小売とエージェントの関係を決める先例になりそうです。

参考リンク

アイキャッチ画像: Photo by Marcus Philip Gonzales on Unsplash

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