Google は2026年10月8日、会議メモアプリ「AI Edge Foresight」を公開しました。録音、文字起こし、要約、質問応答までを端末内で処理し、完全オフラインでも動きます。Mac 向けで、Apple Silicon に最適化されています。会議の内容を外部に送りたくない利用者にとって、クラウド型の既存サービスとは違う選択肢になります。
背景と文脈
会議メモ系の AI アプリは、2026年に入って競争が激しくなりました。Granola が先行し、Wispr や Calendly も最近、自社のノートテイカーを投入しています。先月には Superhuman(旧 Grammarly)が、ノートテイカーの Fathom を買収しました。
多くのサービスは、音声をクラウドに送って処理します。精度は高い一方で、社外秘の会議や医療、法務のような場面では送信自体が障壁になります。通信環境が悪い出張先では使えない点も弱みでした。
今回のアプリは、Google の同じチームが先に出したオフライン優先の AI 音声入力アプリの続編にあたります。TechCrunch によれば、その音声入力アプリは実験的な位置づけで、広く使われるには至りませんでした。
オフラインで動かす利点は、プライバシーだけではありません。通信の遅延がなく、飛行機や地下鉄のような環境でも使えます。クラウド側の利用料も発生しません。その代わり、端末の性能に処理を頼るため、古い Mac では動作が重くなる可能性があります。
技術/ビジネス面

Foresight は、アプリを問わず会議を録音して文字起こしします。対面の会議にも使えます。画面は左右に分かれ、片側に利用者の走り書き、もう片側に AI が整えたメモが並びます。会議中に手書きで追記することもできます。
使うモデルは2つです。メモの取得には、パラメータ数7億4,000万のオンデバイスモデルを使うとされています。TechCrunch は「EmbeddingGemma 2」と呼んでいます。EmbeddingGemma は通常、文章を数値ベクトルに変換する埋め込みモデルです。文字起こしや要約でどう使うかは、記事では説明されていません。
質問に答えるチャットアシスタントは、Google の軽量オープンモデル Gemma 4 が担当します。ここで使われる Gemma 4 も、端末内で動作します。
面白いのは「ナレッジベース」機能です。PDF、Google ドキュメント、Microsoft Office のファイル、テキスト、Markdown、Web のブックマークを取り込めます。会議で話題が資料に関係すると、議事メモと取り込み資料をもとに、その場で答えを返します。
料金や提供地域は、現時点で明らかになっていません。対応するのも Mac だけで、Windows や iOS への言及はありません。
これからどうなるか
TechCrunch は、このアプリが Google のオフライン向け Gemma モデルを見せる場になっている可能性を指摘しています。別の展開として、Gemini アプリ内に、ビデオ通話アプリをまたいで動くクラウド型のノートテイカーを出す道もあります。ただし、これは発表されたものではなく、記事上の推測です。
開発者の視点では、「小型モデルで日常業務の AI 機能が成立する」ことを示す実例として読めます。社内ツールに文字起こしや要約を組み込む際、クラウド API の従量課金を避けてローカルのモデルで試す判断がしやすくなります。個人情報を扱うアプリでは、データを外に出さない設計がそのまま売りになります。
注意点は、実際の精度と動作の軽さがまだ検証されていないことです。ノートテイカーは競合が多く、乗り換えの決め手は文字起こしの精度や、他のツールとの連携になりそうです。まず触ってみて、手元の Mac で日本語の会議がどこまで扱えるかを確かめる価値があります。
まとめ
AI Edge Foresight は、会議メモ作成から資料付きの質問応答までをオフラインで完結させる Mac アプリです。Gemma 4 を使ったチャットや、資料を取り込むナレッジベースが特徴です。料金や地域は未発表なので、続報を待ちたいところです。
参考リンク
アイキャッチ画像: Photo by The Jopwell Collection on Unsplash

