Microsoftが、業務向けAIアシスタントCopilotを大幅に刷新しました。目玉は、常に稼働し続けて日をまたいだ業務をこなす自律エージェント「Autopilot」と、AIが作ったアプリをそのまま社内で公開できるホスティング機能です。チャット型の使い方に慣れた開発者にとっても、エージェントに仕事を任せる働き方がいよいよ現実味を帯びてきました。
背景と文脈
これまでのCopilotは、質問すれば答えてくれる、指示すればその場でコードや文章を作ってくれるという「都度呼び出す」使い方が中心でした。しかし実際の業務は、1回のやり取りでは終わらない継続的な仕事がほとんどです。出荷トラブルの追跡、複数人が絡む調整作業、進行中のプロジェクトの見守りなどは、毎回ゼロから状況を説明し直すのが手間になっていました。
今回の刷新でMicrosoftは、Copilotの窓口を「Home」「Code」「Autopilot」の3つに整理しました。Homeはチャットとチーム作業向けのCowork機能、Word・PowerPoint・Excelの編集を一体化した入り口です。Codeは文章による指示から業務用アプリやダッシュボードを生成する機能で、こちらは以前からある方向性の延長といえます。
常駐エージェントという発想自体は目新しいものではなく、GoogleやAnthropicも似た方向性の機能を打ち出しています。ただしMicrosoftの強みは、Teams・Outlook・Officeという企業の日常業務がすでに乗っているプラットフォームを持っている点です。エージェントを新たに導入するのではなく、普段の仕事道具にエージェントを組み込む形になるため、企業側の導入ハードルは相対的に低くなります。
技術/ビジネス面

最も新しいのがAutopilotです。以前は「Scout」という名称で呼ばれていた機能で、固有の名前と記憶、専用の作業スペースを持つ常駐型エージェントとして再設計されました。メールやTeamsでの会話、社内文書を継続的に見守り、複数日にまたがる仕事を引き継いで進め、会議の準備や日程調整、足りない情報の問い合わせまでこなします。Microsoftのデモでは、「Dot」という名のエージェントがメール・Teams・在庫データを監視し、18店舗に影響する出荷トラブルを検知する様子が示されました。
もう一つの柱がCopilot Managed Runtimeです。CopilotやCowork、Codeで作られたアプリをMicrosoftが運用するインフラ上でそのままホスティングできる仕組みで、Gitによるバージョン管理、外部開発ツール向けのSDK、Entra(Microsoftの認証基盤)を使った権限管理、社内で使われているアプリの一覧管理までを備えます。担当者は「アプリの公開が、Wordの文書を保存して共有するのと同じくらい簡単になる」と説明しています。管理者向けには、どのアプリがどのデータに接続しているかを一覧で把握できる仕組みも用意され、現場が次々と作る小さなアプリが野放しに増えていく「シャドーIT」化を防ぐ狙いも読み取れます。
これからどうなるか
料金面では、企業向けの基本料金は1人あたり月30ドルで据え置きつつ、Cowork・Code・Autopilotの利用分は従量制の「Copilot Credits」で別途課金される形です。Claude 5.1 FableやGPT-6 Astraのような上位モデルを使う場合はさらに別枠の課金になり、Microsoftが示した試算では1ワークロードあたり69〜73ドル程度かかる例も紹介されています。まずFrontierと呼ばれる先行アクセス参加企業向けに順次公開され、Autopilotは月末にかけてプライベートプレビューが拡大する計画です。
開発者にとっては、自分たちが普段GitHub Copilotで書いているコードの延長線上に、業務アプリをノーコードに近い形で社内公開できる基盤が用意されたことになります。個人や小さなチームが作ったツールを、インフラ構築なしに全社展開できる可能性が広がる一方、常駐エージェントに任せる業務の範囲や権限設計は、今後各社が手探りで詰めていく課題になりそうです。
まとめ
MicrosoftはCopilotを「都度呼び出すツール」から「常駐して仕事を進めるエージェント」へと転換させ、あわせてAI製アプリを手軽に公開できるホスティングも用意しました。料金体系はやや複雑になりますが、エージェント常駐という発想が主要プラットフォームに本格的に組み込まれた点は注目に値します。
参考リンク
アイキャッチ画像: Photo by ThisisEngineering on Unsplash

