【解説】AIブラウザ「Dia」Arcの機能統合で次世代ブラウジングへ

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The Browser Companyが開発する次世代AIブラウザ「Dia」は、先行ブラウザ「Arc」の教訓を活かし、AIネイティブ機能を統合する。Arcの成功要素と複雑さへの反省を踏まえ、サイドバーモードなど人気機能を継承しつつ、高速性とセキュリティを強化した。アトラシアンに買収された後も独立運営を続け、Jiraなどの既存サービスとの連携を深めながら、未来のブラウジング体験を目指す。

AIブラウザ「Dia」とは?Arcの学びをどう活かす

「Dia」はThe Browser Companyが手掛けるAIブラウザだ。TechCrunchの報道によると、同社は以前のブラウザ「Arc」での知見を新製品に活かす方針である。

創設者ジョシュ・ミラー氏は、Arcの「最高の機能」(greatest hits)をDiaに統合すると明言した。これにはサイドバーモードなどが含まれ、AIネイティブ機能(メモリやエージェント)と組み合わせられる。

Diaはすでに、アトラシアンに6億1000万ドルで買収されたと2025年9月に報じられている。この買収により、DiaはAIブラウザ市場で優位性を確立する可能性を持つ。

Arcの開発で得られた教訓は、Diaの機能セットを構築する上で大きな資産となるだろう。これは、新機能がユーザーにどのように響くかを理解する上で不可欠な要素である。

Arcが「複雑すぎた」理由とDiaへの継承機能

Arcは2023年半ばにリリースされた。当時のインターネット利用方法に合わせて再設計され、仕事用と個人用のワークスペース、ピン留めタブ、AppleのSpotlightに似たコマンドバー、検索バーを含むサイドバーなど、多くの革新的な機能を導入した。

しかし、ミラー氏は後に、Arcが多くのユーザーにとって複雑すぎたことを認めている。彼は自身のブログ投稿で「Arcはあまりに多くの新機能があり、学ぶべきことが多すぎた。その見返りが小さかった」と振り返った。

Arcは実験的だったが、コア機能や価値観に一貫性が欠けていたという側面もある。これにより、同社はArcの提供を終了し、オープンソース化してDiaの開発に注力することを決めた。

Arcは広範な消費者に普及しなかったものの、失敗とは見なされていない。1年以上にわたる開発を通じて、ユーザーが求めるブラウザ機能に関する貴重な洞察を得た。この経験がDiaの機能選定に活かされる。

DiaのAIネイティブ機能とAtlassian連携

ミラー氏は、DiaのアーキテクチャがAI、速度、セキュリティにおいて優れていると述べている。Xへの投稿では、Arcファンに愛されたサイドバーモードがDiaの早期アクセス版で確認されたと報告された。

Diaはすでに、Arcの「最高の機能」を複数追加している。例えば、タブ切り替え時にGoogle Meetをピクチャーインピクチャーで再生する機能や、カスタムキーボードショートカットなどが含まれる。ミラー氏のX投稿でこれら機能への言及があった。

ArcのSpaces(個別設定可能なブラウジング領域)をDiaへ移行させることも検討中だ。同氏の発言によれば、ピン留めタブの機能も現在テストが進められている。

アトラシアンによる買収後もThe Browser Companyは独立して運営されており、これによりDiaブラウザへの「ブラウザの基本機能」の追加が可能になった。また、アトラシアンのJiraやLinearといった他のアプリとの連携も深める方向性にある。

未来のブラウザ体験:Diaが目指す進化とは

Diaは「肥大化」を避け、AIネイティブ機能に重点を置く。特にメモリ機能やエージェント機能は、ユーザーのブラウジング体験を根本から変える可能性を秘めている。これは、従来のブラウザが情報収集のツールであったのに対し、Diaは「情報の処理と実行」にまで踏み込むことを示唆する。

AIブラウザの進化は、Web利用の効率性とパーソナライズを劇的に向上させるだろう。ユーザーはよりスマートで、より迅速な情報アクセスが可能となる。これは国内のビジネスユーザーにとっても、作業効率向上に直結する重要なポイントだ。

ミラー氏は、スワイプ可能なプロファイルや、2026年に登場予定のDiaモバイルアプリ向けにArc Search着想の更新など、新機能へのフィードバックを積極的に募っている。彼の呼びかけは、ユーザー中心の開発姿勢を浮き彫りにする。

AIブラウザ市場は競争が激化しており、DiaのArcからの学びとアトラシアンとの連携は大きな強みとなる。ユーザーのニーズを捉え、シンプルかつ強力なAI体験を提供できるかが、Diaの成功を左右するだろう。

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