デザインプラットフォームのFigmaは、AI画像・動画生成を手掛けるWeavyを買収した。これにより、Figmaのデザインワークフローに高度なAIメディア生成機能が統合され、「Figma Weave」として新たなブランドで展開される。今回のFigma 買収は、AIを基盤としたデザインプラットフォーム市場の競争を激化させ、デザイナーの創造性を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。
FigmaがWeavyを買収：AIデザイン機能強化へ
デザインプラットフォーム大手Figmaは2025年10月24日、AIを活用した画像・動画生成会社Weavyを買収したと発表した。WeavyはFigmaの傘下に入り、「Figma Weave」という新ブランドで事業を展開する。この買収により、Figmaはメディア生成AI分野における能力を大幅に強化し、デザインエコシステムへのAI統合を加速させる方針だ。Weavyの従業員20名がFigmaに加わるが、買収額は非公開とされている。
Weavyは2024年に設立されたばかりの新興企業で、2024年6月にはシードラウンドで400万ドルを調達していた。Figmaは、当面Weavyを単体製品として維持しつつ、将来的にはFigma Weaveブランド、そしてFigmaプラットフォーム全体との統合を進める計画だ。このWeavy AIの獲得は、デザイナーにとって、より高度なメディア生成AIをFigma内で直接利用できる道を開くものとなる。
Weavy AIの革新的なメディア生成機能
Weavy AIは、ユーザーが複数のAIモデルを組み合わせて、高品質な画像や動画を生成できる革新的なウェブツールを提供している。プロの編集ツールを備え、製品モックアップやブランドスタイリングなど、多様なデザイン用途に対応可能だ。ユーザーは無限キャンバス上で画像生成のプロンプトから始め、異なるモデルの結果を比較検討できる。さらに、動画生成プロンプトを追加し、生成されたメディアにレイヤー編集を施したり、プロンプトを通じて照明、色、角度を調整したりと、細かな調整が行える。
FigmaのCEOであるディラン・フィールド氏は、Weavyの「ノードベースのアプローチが、AI生成に新たなレベルの技術と制御をもたらす」と評価している。この技術は、創造的な探求と反復的な調整を組み合わせることで、出力の分岐、リミックス、洗練を可能にする。Weavy AIが提供するモデルには、動画生成用のSeedance、Sora、Veo、画像生成用のFlux、Ideogram、Nano Banana、Seedreamなどがあり、その多様性が特徴だ。
Figma Weave：デザインワークフローにAI統合
Figma Weaveは、Figmaの既存のデザインワークフローにWeavy AIの強力なメディア生成能力を直接統合することを目指す。これにより、デザイナーはFigmaを離れることなく、アイデア出しから画像・動画の生成、そして最終的なデザイン作成までの一連のプロセスをシームレスに行えるようになる。これは、Figma AI公式が示すような、AIを活用した創造性の解放というFigmaのビジョンをさらに推し進めるものだ。
デザインプロセスにおけるAIの活用は、反復的な作業の効率化だけでなく、これまでは想像もできなかったような新しいデザインの可能性を開く。例えば、プロンプト一つで多種多様なビジュアルアセットを生成し、それをデザインプロジェクトに即座に組み込めるようになるだろう。Figmaヘルプセンターが既存のAIツール利用法を紹介しているように、AI機能の統合は今後さらに深化する見込みだ。
加速するAIデザインプラットフォームの競争
FigmaによるWeavy AIの買収は、AIデザインプラットフォーム市場における競争が激化している現状を浮き彫りにしている。2025年10月初旬には、AI検索プラットフォームのPerplexityがデザインプラットフォームVisual Electricのチームを買収。また、2025年4月には、AIスタートアップのKreaが8300万ドルを調達するなど、各社がこの分野での主導権を握るべく投資を加速させている。
これらの動きは、AIがデザイン業界における単なる補助ツールではなく、中心的な機能として位置づけられつつあることを示唆している。Adobe Firefly公式のような既存の強力なAI生成ツールも市場に存在する中、FigmaのWeavy Figma 統合機能は、UI/UXデザイナーやクリエイターが、より効率的かつ革新的な方法でデザインを生み出すための新たな基準を打ち立てるだろう。今後もAIを活用したメディア生成AIの進化は、デザインワークフロー全体に大きな変革をもたらすと予測される。
