PayPalはOpenAIと連携し、2026年からChatGPT内で直接PayPal決済を可能にすると発表した。このAI決済機能は、OpenAIが開発したAgentic Commerce Protocol(ACP)とInstant Checkoutにより実現する。これにより、ユーザーはAIアプリ内でシームレスに買い物を完了できるようになる。マーチャント側は追加の連携作業なしにAIアプリ向け商品登録が可能となり、新しいショッピング体験が本格化する見込みだ。
ChatGPTでPayPal決済が可能に:新時代の幕開け
PayPalは2026年から、OpenAIのChatGPT内で直接PayPal決済を利用可能にすると発表した。ユーザーはAIアプリ内で商品をスムーズに購入できるようになる。
これは「AI決済」の新たな形であり、PayPal OpenAI 連携の具体的な成果だ。PayPalは買い手と売り手の双方に保護を提供し、いざこざの解決もサポートすると述べている。
また、PayPalは別のAPIを通じ、ChatGPT内でのカード支払い処理技術も提供する。これにより、利用者は多様なChatGPT 支払い機能を選べるようになる。
PayPalのCEO、Alex Chriss氏は、ChatGPTユーザーとPayPal利用者を結びつけ、チャットから決済までを数タップで完結させると説明している。(OpenAI公式ブログ)
AIアプリ内決済を可能にする「ACP」の役割
このAIアプリ 決済サービスを支えるのが、OpenAI開発のオープンソース仕様「Agentic Commerce Protocol(ACP)」だ。ACPは、マーチャントが商品をAIアプリ内で提供し、AIエージェント経由でユーザーが購買する仕組みを可能にする。
2025年9月発表のOpenAI「Instant Checkout」機能も重要だ。これはユーザーが注文、配送、支払い情報をChatGPT内で確認し、アプリを離れずに購入を完結させる。これにより、ショッピング体験の摩擦が大幅に減る。
ACP導入は、AIエージェントによる自動的な購買行動の基盤を築く。例えば、ChatGPTで特定商品をリサーチ後、そのまま推奨品を購入できる。情報検索から購買への移行が一段とスムーズになるだろう。
マーチャントは連携不要でAIアプリに商品登録
2026年からは、PayPalを利用中のマーチャント商品がChatGPT上で検索可能になる予定だ。アパレル、ファッション、美容、住宅改修、電化製品などが初期カテゴリーとなる。
マーチャント側は、直接システム連携を構築する必要がない。PayPalがバックエンドでルーティングと支払いを処理するため、既存ユーザーは容易にAIアプリ向け商品登録を進められる。
PayPalはさらに「agentic commerce suite」を提供する。これはAIアプリ内での商品カタログ掲載、多様なAIアプリでの決済受容、消費者行動の洞察取得を可能にする。これにより、企業は新たな販売チャネルを簡単に開拓できる。
AIアプリが変革するショッピング体験の未来
PayPalの動きは、AIを活用したショッピング体験における決済パートナーとしての地位確立を目指す戦略だ。既に2025年5月にPerplexity、9月にはGoogleのAgent Payments Protocolと提携している。
小売大手のWalmartもOpenAIと連携し、AIファーストのショッピング体験を創出中と報じられており(Walmart公式ニュース)、この分野の競争は激しい。
ChatGPTでPayPal支払い方法が加わることで、ユーザーはAIとの自然な会話を通じて商品を見つけ、購入まで完結できる。従来のECサイト閲覧とは異なる、パーソナライズされた効率的な購買体験が提供されるだろう。AI決済はショッピングのあり方そのものを変革する可能性を秘めている。

