インテルが2025年第3四半期決算を発表し、市場予想を上回る好業績を記録した。収益の増加に加え、大規模なコスト削減と戦略的な大型投資がこの回復を牽引している。特に、半導体受託製造を担うインテル ファウンドリ事業は、米国政府からの支援やNvidiaなどの大手企業との連携を通じて、インテルの長期的な成長戦略の要となる。しかし、その事業進捗状況や今後の展開には、市場の注目が集まっている。
The foundry biz
インテルの2025年第3四半期決算は好調だったものの、顧客向けにカスタムチップを製造するインテル ファウンドリ事業に関する詳細は不足していた。この事業は当初から低迷しており、タンCEOの注力分野となっている。同社は2025年夏にはこのファウンドリ部門で大規模な人員削減を実施したと報じられている。
ファウンドリ事業はトランプ政権の優先事項ともなっている。米国政府によるインテルへの投資条件には、今後5年間でファウンドリ事業を売却した場合にペナルティを課すという内容が含まれている。これにより、インテル ファウンドリ事業は単なる経済活動に留まらず、地政学的な戦略的意味合いを持つことが明確になった。
ウォール街は、インテルの長期的な成長の兆候としてファウンドリ事業の動向を注視している。一部のアナリストは2025年8月にTechCrunchに対し、インテルの立て直しに必要なのは資金ではなく、ファウンドリ事業を軌道に乗せるための戦略であると指摘していた。
大型投資と事業売却が牽引するインテル事業回復
インテルは2025年第3四半期に市場予想を上回る決算を発表し、収益増と大規模なコスト削減が業績を押し上げた。同社の公式発表によると、純利益は41億ドルとなり、前年同期の166億ドルの損失から大幅な改善を見せている。
この回復は、過去数ヶ月間に行われた複数の大規模な投資と事業売却が大きく貢献している。インテルは第3四半期に200億ドルの資金を貸借対照表に追加したと発表。これは主に三つの大型投資によるものだ。
2025年8月には、ソフトバンクがインテルに20億ドルを投資した。TechCrunchの報道によれば、その数日後には米国政府が前例のない10%の株式取得計画を発表し、インテルに総額89億ドルのうち57億ドルを既に供給している。さらに、2025年9月にはNvidiaがインテル株式を50億ドルで取得し、AIチップの共同開発に向けた提携を計画していると報じられている。TechCrunchが伝えた。
これらの投資に加え、インテルは事業売却によっても資金を確保している。2025年9月12日には、2015年から所有していたハードウェア企業Alteraの持ち株売却を完了し、52億ドルを得た。また、自動運転技術を手がけるMobileyeの持ち株も売却している。
タンCEOは決算発表で、「貸借対照表を強化するための行動は、我々に大きな事業の柔軟性をもたらし、自信を持って戦略を実行し続ける好位置につけている」と語った。また、トランプ大統領とハワード・ラトニック長官からの信頼と支持を光栄に感じるとし、「最先端のロジック、研究開発、製造能力を持つ唯一の米国半導体企業としてのインテルの戦略的役割を強調するものだ」と述べた。
カギを握るインテル ファウンドリ事業の現状と戦略
インテル ファウンドリ事業は、同社の中長期的な成長戦略において重要な位置を占める。タンCEOは、半導体チップ需要の拡大を背景に、インテルのファウンドリ事業が「独自の地位」を確立していると強調した。具体的な進捗状況については詳細が限定的だったものの、潜在的なファウンドリ顧客との積極的な対話を進めていることを明らかにした。
この半導体受託製造事業の成長は、規律を伴うものだとタンCEOは語る。顧客との信頼関係構築が長期的な成功の基盤であるとの認識を示した。ファウンドリとして、顧客がそれぞれの製品を開発しやすいように、プロセスを容易に利用できるようにすることが不可欠だとしている。
タンCEOは、顧客が求める強力な性能、歩留まり、コスト、納期といったあらゆるニーズに応えるため、ウエハー製造において顧客を「喜ばせる」ことが必要だと説明した。これは、単に製品を提供するだけでなく、顧客体験全体を重視する姿勢を示している。インテル ファウンドリが市場の期待に応え、着実に事業進捗状況を示すことができるかが今後の焦点となるだろう。
半導体業界におけるインテルの戦略的立ち位置
インテルは、最先端のロジック、研究開発、製造能力を米国国内で一貫して持つ唯一の半導体企業として、極めて戦略的な立ち位置にある。これは、特に半導体サプライチェーンの安定化と自国産業の強化を目指す米国政府にとって、極めて重要な存在である。
タンCEOが言及したトランプ政権からの支持は、インテルが単なる民間企業ではなく、国家の経済安全保障を担う基幹企業であるという認識の表れだ。これは、半導体受託製造市場におけるインテル ファウンドリの競争力向上を支援し、グローバルな半導体供給網における米国の影響力を維持する狙いもある。
インテルの事業回復とファウンドリ戦略は、激化する半導体業界の国際競争において、同社が再びリーダーシップを確立するための重要な一歩となる。技術革新のスピードが加速する中、インテルが新たなパートナーシップと投資を通じて、その戦略的立ち位置をどのように活用していくかが注目される。
参考リンク
- Investor Relations :: Intel Corporation (INTC) | www.intc.com
- Intel (INTC) earnings report Q3 2025 | www.cnbc.com
- Intel Reports Third-Quarter 2025 Financial Results :: Intel … | www.intc.com
- Intel (INTC) Q3 Earnings Report 2025 | www.wsj.com
- SoftBank Makes $2B Investment In Intel | techcrunch.com
- U.S. Government Plans To Take A 10% Stake In Intel | techcrunch.com
- Nvidia Buys $5 Billion Stake In Intel | techcrunch.com
- Intel Agrees To Sell Controlling Stake In Altera Chip Business | techcrunch.com
- Intel Hits The Brakes On Its Automotive Business And Layoffs Have Started | techcrunch.com
- Intel To Layoff Up To 20% Of Intel Foundry Workers | techcrunch.com
- Trump Administration’s Deal Is Structured To Prevent Intel From Selling Foundry Unit | techcrunch.com
- Why The U.S. Government Is Not The Savior Intel Needs | techcrunch.com

