【注目】Google DeepMindが核融合スタートアップCFSと提携!AIで実現する次世代エネルギー

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Google DeepMindが核融合スタートアップCommonwealth Fusion Systems(CFS)と提携し、AIを活用した核融合炉の最適化に取り組む。DeepMindの専門ソフトウェア「Torax」とAIモデルを組み合わせ、CFSの次世代核融合炉「Sparc」のプラズマ制御を高度化する。Googleはデータセンターの膨大な電力需要に対応するため、核融合技術に戦略的な投資を行っている。CFSは2026年後半に「Sparc」で純エネルギー達成を目指す。

Google DeepMindとCFS、AIで核融合炉最適化へ

GoogleのAI研究部門であるDeepMindは、核融合スタートアップCFSとの提携を発表した。AIを用いてCFSの次世代核融合炉「Sparc」の運転を微調整し、その性能を向上させるのが目的だ。両社はDeepMindが開発した専門ソフトウェア「Torax」を活用する。

ToraxはAIモデルと連携し、Sparc炉内で発生するプラズマをシミュレートする。これにより、核融合発電を最も効率的に実現するための方法をCFSが特定できるよう支援する。Googleは以前にも別の核融合スタートアップTAE Technologiesと協力し、AIによるプラズマ挙動の研究を進めてきた実績がある。

核融合実現の鍵を握るAI:プラズマ制御の課題

核融合発電は、ほぼ無尽蔵の燃料である水から膨大な電力を供給し、ゼロエミッションを実現する次世代エネルギーとして期待される。しかし、その実現には大きな技術的課題が伴う。最も重要なのは、炉内のプラズマを十分に高温かつ長期間維持することだ。

核分裂反応と異なり、核融合反応は自己維持が難しい。太陽のような質量と重力がない場合、プラズマは常に拡散し消滅する危険があるためである。CFSの原子炉では強力な磁石を用いてプラズマを閉じ込めるが、これは完璧ではない。刻々と変化するプラズマの状態に継続的に対応できる制御ソフトウェアの開発が不可欠となる。

この種の複雑な問題は、人間の能力では対応しきれない調整を多数必要とする。まさにAIがその真価を発揮する領域であり、専門家はAIが核融合産業の目覚ましい進歩を可能にした主要技術の一つと指摘している。

Googleが核融合に注力する戦略的意図

Googleは、核融合技術をデータセンターの電力源として注目している。AIモデルの学習や運用には膨大な電力が消費されるため、持続可能で大規模なエネルギー源の確保はGoogleにとって喫緊の課題だ。核融合スタートアップへの投資は、AI関連企業全体で活発化しており、Googleもその中心にいる。

GoogleはCFSのシリーズB2資金調達ラウンド(8億6,300万ドル)にNVIDIAと共に参加した。さらに、2025年6月にはCFSがバージニア州リッチモンド郊外に建設予定の最初の商業発電所「Arc」から、200メガワットの電力を購入する契約を締結している。

このような積極的な投資と購入契約は、Googleが単なる技術提携以上の戦略的な意図を持っていることを示唆する。将来の主要顧客として、核融合技術の早期実現と安定供給を強く望んでいると見られる。

CFSの核融合炉「Sparc」開発の現在地と未来

CFSは現在、マサチューセッツ州ボストン郊外で実証炉「Sparc」の建設を進めている。2025年9月時点で全体の約3分の2が完成しており、2026年後半の完成を予定していると報じられている。

Sparcが完成すれば、自己運転に必要な電力を上回る純エネルギーを生産する、世界初の核融合装置となる見込みだ。DeepMindのToraxソフトウェアは、強化学習や進化的探索モデルと組み合わせて使用できる。これにより、純エネルギー生成に向けた最も効率的で堅牢な経路を発見することが可能になる。両社はAIが原子炉全体の運転制御にどのように活用できるかも探求している。

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