1.1 SQLの概要
SQL(Structured Query Language)は、データベース管理システムでデータを操作するための標準化された言語です。SQLはデータベース内の情報を取得(検索)、挿入、更新、削除などのデータ操作を行うために使用されます。データベースはテーブルとしてデータを保持し、SQLを用いてこれらのテーブルに対して問い合わせや更新を行います。SQLは直感的で読みやすい構文を持ち、多くのデータベース管理システムで広く採用されています。SQLは組織やアプリケーションにおいてデータの操作と管理に不可欠であり、データの効率的な取り扱いに重要な役割を果たしています。
SQLは主に次の4つの操作に分類されます。
- SELECT(検索):データベース内のテーブルから特定の情報を取得するために使用されます。例えば、顧客の氏名、商品の価格、売上の合計などを取得することができます。SELECT文はSQLの中でも最もよく使用される操作であり、情報を検索して取得する際には非常に重要です。
- INSERT(挿入):新しいデータをデータベースに挿入するために使用されます。例えば、新しい顧客情報を登録する場合や、新商品の情報を追加する場合などにINSERT文を使用します。データベースに新しい情報を追加することで、データを蓄積していくことができます。
- UPDATE(更新):既存のデータを変更するために使用されます。例えば、顧客の住所変更や商品の在庫数更新などを行う際に使用します。UPDATE文を使用することで、データベース内の情報を最新の状態に保つことができます。
- DELETE(削除):データベース内の情報を削除するために使用されます。例えば、顧客の退会情報の削除や不要な商品情報の削除などを行う場合に使用します。データベース内の情報を整理し、必要のないデータを削除することで、データの効率的な管理が可能となります。
これらの基本的なSQLの操作を組み合わせることで、複雑なデータ操作や情報の取得が可能となります。SQLの知識とスキルは組織やアプリケーションのデータ処理に不可欠であり、データベースを効率的に操作するための重要なツールとして広く利用されています。
1.2 SQLの目的と重要性
SQLの主な目的は、データベース内のデータを効率的に操作することです。情報の追加、編集、削除、検索などを容易に行えます。データベースは多くの組織で重要な情報の保管と取り扱いを行うため、SQLは非常に重要な役割を果たしています。ビジネスやアプリケーションの要件に合わせてデータを抽出し、有用な情報を提供することがSQLの目的の一つです。データベースの正確な操作とセキュリティの確保には、適切なSQLクエリの知識が必要です。
1.3 SQLの起源と歴史的な背景
SQLは1970年代にIBMのエドガー・F・コッドによって開発されました。コッドはリレーショナルデータベースの理論を提唱し、SQLをそのデータベースにアクセスするための言語として発展させました。初期のSQLはIBMのSystem Rプロジェクトで実装され、その後ANSI(米国規格協会)とISO(国際標準化機構)によって標準化されました。1986年にSQL-86、1992年にSQL-92などのバージョンがリリースされました。現在、SQLはISO/IEC 9075として規定され、さまざまなバージョンが存在しますが、SQL-92およびSQL:2011が一般的に広く使用されています。
1.4 SQLの種類と一般的なデータベース管理システム(DBMS)での使用
SQLには主に以下の3つの種類があります。データ定義言語(DDL)はデータベースやテーブルの作成・変更・削除などのデータ定義に使用されます。データ操作言語(DML)はデータの挿入・更新・削除などのデータ操作に使用されます。データ制御言語(DCL)はデータベースに対するアクセス権限の管理に使用されます。一般的なデータベース管理システム(DBMS)でSQLは広くサポートされています。有名なDBMSには、MySQL、PostgreSQL、Oracle、Microsoft SQL Server、SQLiteなどがあります。各DBMSはSQLの標準を一部拡張している場合もありますが、基本的なSQLクエリはほぼ共通しているため、ほかのDBMSへの移行も容易に行えます。